咽頭がん・喉頭がんとは?|症状・原因・治療・再発予防までわかりやすく解説

「咽頭がん」「喉頭がん」——。医師からそう告げられたとき、「声が出にくいとは思っていたけれど、まさか自分ががんだなんて…」「治療で声を失うかもしれないと聞いて、どうしていいかわからない」そんな戸惑いや不安を感じることでしょう。

本記事の執筆者は、大学病院で看護師としてがん患者さんのケアに携わっていた経験を持つ医療専門ライターです。現場では、咽頭がん・喉頭がんと向き合う多くの患者さんやご家族と接してきました。

「のど」や「声」は、日々の暮らしや人とのつながりに欠かせない大切なものです。だからこそ、病気について正しく知り、これからの治療や生活について考えていくことがとても大切です。

咽頭がんや喉頭がんは、早期に見つかれば高い確率で治療が可能な病気でもあります。声を残す治療法もあり、決してすべてを失うわけではありません。

この記事では、咽頭がん・喉頭がんの症状、原因、治療、再発予防までを、できるだけわかりやすく解説しています。ご本人はもちろん、ご家族の方にも安心して読んでいただける内容です。少しでも気持ちが軽くなり、“前に進むためのきっかけ”になれば幸いです。

はじめに:咽頭がん・喉頭がんとは?

はじめに:咽頭がん・喉頭がんとは?

咽頭がん・喉頭がんは、のどの細胞ががん化することで発生する病気で、特に中高年の方に多く見られます。

のどは声を出すために重要な場所であり、喉頭がんは声のかすれなど比較的早期に症状が現れやすいため、早期発見につながりやすい特徴があります。一方で、咽頭がんは初期の症状がわかりにくく、気づきにくい場合もあり、そのため発見が遅れることもあります。

けれども、近年の医療の進歩により、咽頭がん・喉頭がんに対してもさまざまな治療法が確立されてきました。病気を正しく理解することは、今後の治療や生活を前向きに進めるための大切な第一歩です。

ここではまず、

  • 咽頭がん・喉頭がんの基本情報(発生部位・種類)
  • 日本における咽頭がん・喉頭がんの罹患率と死亡率

について、一つ一つ見ていきましょう。

咽頭がん・喉頭がんの基本情報(発生部位・種類)

咽頭がんと喉頭がんは、いずれも「のど」に発生するがんですが、がんができる場所によって、進行のスピードや治療法、予後が大きく異なります。ここでは、それぞれのがんの主な種類と特徴についてご紹介します。

  1. 咽頭がんの発生部位と種類

咽頭がんは、頸部(首)のリンパ節に転移しやすいという特徴があります。以下の3つの部位に分けて分類されます。

◆上咽頭がん

  • 鼻の奥に近い「上咽頭」に発生
  • 日本では比較的まれな疾患
  • 中高年の男性に多くみられる

◆中咽頭がん

  • 口の奥から喉の入り口にかけて発生
  • 頭頸部がん全体のうち約17%を占める
  • 喫煙や飲酒が主なリスク因子

◆下咽頭がん

  • 食道の入り口付近に発生
  • 頭頸部がん全体のうち約22%を占める
  • 進行が速く、初期症状に乏しいため発見が遅れがち
  1. 喉頭がんの発生部位と種類

喉頭がんは、「声帯」に近い場所にできることが多く、声の変化が初期症状として現れやすいのが特徴です。以下の3つの部位に分類されます。

◆声門上部がん

  • 喉頭の上部に発生し、声帯に近い部分にがんができることが多い
  • 初期症状として声のかすれが出やすい
  • リンパ節転移の頻度は比較的高い

◆声門がん

  • 声帯そのものに発生
  • 喉頭がんの約70%を占める最も一般的ながん
  • 声のかすれや嗄声(しゃがれ声)が典型的な初期症状
  • リンパ節転移は比較的少ない

◆声門下部がん

  • 喉頭の下側に発生
  • 進行が速く、症状が現れにくいため早期発見が難しい
  • リンパ節転移もしばしばみられ、進行して発見されることが多い

また、咽頭がんや喉頭がんは、他のがんと一緒に見つかることが多いという特徴があります。特に、食道・胃・肺・他の頭頸部などに、同時または時期をずらして別のがん(重複がん)が発生するケースが少なくありません。

これは、喫煙や飲酒といった共通のリスク要因が複数の臓器に影響を及ぼすためです。そのため、がんが見つかった場合は、他の部位のチェックも含めた全身的な注意が必要です。

日本における咽頭がん・喉頭がんの罹患率と死亡率

咽頭がん・喉頭がんは、日本でも依然として注意が必要ながんの一つです。主に喫煙や飲酒、ウイルス感染などが関係しており、特に中高年の男性に多く発症しますが、誰にでも起こり得る病気です。

1.咽頭がん

【罹患率】

  • 新たに診断される例は年間数千人
  • 特に中高年の男性に多い
  • 男性は女性の約4倍罹患しやすい
  • 主なリスクは喫煙や飲酒
  • 40代以降に増え、60〜70代でピーク

【死亡率】

  • 早期発見で5年生存率は約70%
  • 進行すると生存率が大幅に低下するため早期受診が重要

参照:国立研究開発法人国立がん研究センター『がん種別統計情報口腔・咽頭』

2.喉頭がん

【罹患率】

  • 日本全国で年間およそ4,500人が診断を受けている
  • 男性に多く発症し、男性は女性の約5倍罹患しやすい
  • 主なリスクは喫煙や飲酒
  • 50代以降に多い

【死亡率】

  • 声のかすれなど比較的早期に症状が出るため早期発見しやすい
  • 5年生存率は70〜80%程度
  • 進行すると生存率は大きく低下する

参照:国立研究開発法人国立がん研究センター『がん種別統計情報喉頭』

 

咽頭がんや喉頭がんは、喫煙や飲酒といった生活習慣と強く関わりがあり、特に中高年の男性に多く見られます。初期症状が分かりにくいこともあるため、リスクのある方は、定期的な検診を受けることが大切です。

咽頭がん・喉頭がんの原因とリスク要因

咽頭がん・喉頭がんの原因とリスク要因

咽頭がん・喉頭がんを理解し、適切に向き合うためには、「なぜ発症するのか?」という原因やリスク要因を知っておくことが大切です。生活習慣やウイルス感染、職業環境など、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。原因が特定できない場合もありますが、リスクを知ることは予防や再発防止への第一歩となります。

ここでは、主な3つの要因について詳しく見ていきましょう

  • 喫煙と飲酒の影響
  • ウイルス感染(HPVなど)
  • 生活習慣・職業的リスク(粉じん・化学物質など)

それぞれ解説していきます。

喫煙と飲酒が及ぼす影響

咽頭がん・喉頭がんの発症には、いくつかの生活習慣が深く関わっています。中でも喫煙」と「飲酒」は、最も大きなリスク要因として知られています。特にこの2つが重なると、がんの発症リスクはさらに高くなることがわかっています。

ここでは、それぞれの影響についてご紹介します。

1.喫煙の影響

たばこに含まれる有害物質は、のどの粘膜を直接刺激し、細胞の遺伝子に傷をつけることで、がんを引き起こす原因になります。

  • 喫煙者は、非喫煙者に比べて咽頭がん・喉頭がんのリスクが2〜数十倍高くなる
  • 吸う本数が多く、喫煙期間が長いほどリスクはさらに上昇する
  • 禁煙を始めることで、数年かけてリスクは徐々に低下していく

2.飲酒の影響

アルコールや、体内で分解される際に生じるアセトアルデヒドには、発がん性があるとされています。

  • 飲酒量が多い人は、少量しか飲まない人に比べてがんのリスクが高い
  • 喫煙と飲酒の両方の習慣がある場合、リスクは単独のときよりもさらに増加する
  • 日常的に多量の飲酒をしている場合は、減酒や休肝日から始めるのも効果的

のどの健康を守るためにも、飲酒習慣の見直しは大切です。喫煙と飲酒は、どちらも「今から取り組めるリスク対策」です。日々の生活を見直すことが、治療や予防の大きな一歩になります。

ウイルス感染とがん(ヒトパピローマウイルス〈HPV〉など)

咽頭がんや喉頭がんの一部は、ヒトパピローマウイルス(HPV)・エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)が原因で発生します。ウイルスがのどの粘膜に感染し、細胞の遺伝子に変化を起こしてがん化することがあります。

  1. ヒトパピローマウイルス(HPV)と中咽頭がん

原因と特徴

  • 中咽頭がんの約半数はHPV感染が関与
  • HPV16型は特にがん化リスクが高い
  • 主に性的接触で感染
  • 感染後、数年から十数年の潜伏期間を経てがん化する可能性がある
  • HPV関連がんは治療効果が高く、予後も良好な傾向

感染リスクのあるケース

  • 性的接触の機会が多い場合
  • 複数の性的パートナーがいる場合
  • HPVワクチン未接種の男女

HPVワクチンの接種は、男女ともに感染予防に効果が期待されています。適切な性教育や定期的な検診も重要です。

  1. エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)と上咽頭がん

原因と特徴

  • 上咽頭がんはEBV感染と深く関係
  • EBVは主に唾液を介して感染
  • 多くの人が一度は感染経験がある
  • 通常は無症状で潜伏するが、一部でがん化することがある
  • 初期症状は風邪に似て鼻づまりや耳の詰まり感が見られやすい

感染リスクのあるケース

  • 高リスク地域(東南アジアや中国南部など)に居住している場合
  • 家族歴に上咽頭がんがある場合
  • 口腔内の衛生状態が悪い場合

高リスク地域や家族歴がある場合は早期検査が重要です。また、口腔ケアを心がけ、免疫を維持する生活習慣が推奨されます。

生活習慣や職業的リスク(粉じん・化学物質など)

咽頭がん・喉頭がんの発症には、生活習慣だけでなく職場環境も影響します。特に粉じんや化学物質に長期間さらされることがリスクを高めます。

1.職業的リスク

  • アスベスト、ホルムアルデヒド、ニッケル化合物などの有害物質への曝露が関連
  • 建設業や工場作業、塗装業などで粉じんや化学物質に接触しやすい職種は注意が必要
  • 長期間の曝露が、のどの細胞を傷つけがん発生につながる可能性がある

2.生活習慣の影響

  • 不規則な生活や栄養バランスの偏りも免疫力低下の一因に
  • 喫煙や飲酒と組み合わさるとリスクがさらに高まる

日々の暮らしを見直し、健康的な習慣を続けることで、がんのリスクを少しずつ減らしていきましょう。

咽頭がん・喉頭がんの症状と早期発見の重要性

咽頭がん・喉頭がんの症状と早期発見の重要性

咽頭がん・喉頭がんは、初期のうちは自覚症状があいまいなことも多く、「気づいたときには進行していた」という場合も少なくありません。しかし、声のかすれやのどの違和感などの小さなサインを見逃さず、早めに医療機関を受診することで、治療の選択肢が広がり、予後の改善につながります。

ここでは、咽頭がん・喉頭がんに見られる主な症状や、早期発見に役立つ検査の重要性について解説します。

  • 咽頭がん・喉頭がんの初期症状(声のかすれ・のどの違和感など)
  • 進行した場合の症状(飲み込みにくさ・呼吸困難・首の腫れなど)
  • 定期的な受診と検診の重要性

一つずつわかりやすく説明していきます。

咽頭がん・喉頭がんの初期症状(声のかすれ・のどの違和感など)

咽頭がん・喉頭がんは、がんができる部位によって現れる症状が異なるのが特徴です。初期のうちは軽い風邪やのどの不調と似ているため、見逃されがちですが、早期発見につなげるためには、日常の小さな違和感に気づくことが大切です。

【咽頭がん】

1.上咽頭がん(鼻の奥の裏側)

  • 鼻づまりや鼻血(片側だけのことが多い)
  • 耳が詰まった感じ、聞こえにくさ

※風邪や副鼻腔炎と間違えやすいですが、長引く場合は注意が必要です。

2.中咽頭がん(扁桃やのどの奥)

  • のどの痛み(片側だけが多い)
  • 軽い飲み込みづらさ、食べ物が引っかかる感覚

※「片側だけが痛む」症状が続くときは、早めの受診がおすすめです。

3.下咽頭がん(食道の入り口付近)

  • 声のかすれ
  • のどの異物感・違和感

※初期症状が目立たず進行しやすい部位のため、違和感を軽視しないことが重要です。

【喉頭がん】

  • 声のかすれ(もっとも初期に現れやすい症状)
  • のどの乾燥感や軽い違和感

※声帯にがんができると、少しの異変でも声に変化が出やすいため、1週間以上声のかすれが続く場合は耳鼻咽喉科へ。

進行した場合の症状(飲み込みにくさ・呼吸困難・首の腫れなど)

咽頭がんや喉頭がんが進行すると、周囲の組織に広がり、よりはっきりとした症状が現れます。以下のような変化が見られた場合は、早めの受診が大切です。

【咽頭がん】

1.上咽頭がん(鼻の奥の裏側)

  • 首のしこりがはっきりしてくる(リンパ節転移)
  • 片側の耳の奥の痛み、聞こえにくさの悪化
  • 鼻づまりや鼻血が頻繁になる

※がんが耳管や鼻の奥に広がると、耳や鼻の症状が強く出ることがあります。

2.中咽頭がん(扁桃やのどの奥)

  • 飲み込みにくさ(嚥下困難)が進む
  • 声が出しづらくなる、しゃがれ声の悪化
  • 首のしこりが大きくなる

※食事中にむせやすくなったり、固形物が飲み込みづらくなる場合は要注意です。

3.下咽頭がん(食道の入り口付近)

  • 声のかすれが悪化し、息苦しさを感じる
  • のどの閉塞感や詰まり感
  • 咳や血の混じった痰が続く

※気道が狭くなることで呼吸困難が起きることもあります。

【喉頭がん】

  • 声のかすれがさらに悪化し、声がほとんど出なくなる
  • 息苦しさやのどの閉塞感
  • 咳や血の混じった痰が続く
  • 首のリンパ節が大きく腫れる

※声帯や気道にがんが広がることで、呼吸や発声に深刻な影響が出ることがあります。

これらの症状が出たら、咽頭がんや喉頭がんが進行しているかもしれません。ひとりで悩まず、すぐに専門医を受診してください。早めの治療で、あなたとご家族の未来を守りましょう。

定期的な受診と検診の重要性

咽頭がん・喉頭がんは、初期症状があいまいで、気づかないうちに進行してしまうこともあります。ですが、定期的な検査によって早期に発見できれば、治療の選択肢が広がり、回復の可能性も高くなります。

以下のような検査を定期的に受けることが、がんの早期発見につながります。

早期発見のために行う検査:

  • 内視鏡検査(喉頭・咽頭):のどの奥や声帯の粘膜を直接確認し、異常を早期に発見。
  • 画像診断(CT・MRIなど):がんの広がりや、リンパ節・周囲への転移を調べるのに有効。
  • 音声・嚥下(えんげ)機能のチェック:声の出しにくさや飲み込みづらさなど、機能的な変化を評価。

自覚症状がなくても、定期的な受診を心がけることで、がんを早い段階で見つけられる可能性が高まります。早期発見が、治療の成功率や生活の質(QOL)を大きく左右します。気になる症状がある方は、ためらわず耳鼻咽喉科を受診しましょう。

咽頭がん・喉頭がんの診断と検査方法

咽頭がん・喉頭がんの診断と検査方法

咽頭がん・喉頭がんは比較的早期に症状が現れやすいものの、正確な診断と検査でがんの位置や進行度を詳しく把握することが重要です。これにより、最適な治療方針を決めることができます。

ここでは、咽頭がん・喉頭がんの主な診断方法や検査の種類、病期(ステージ)の分類について詳しく解説します。

  • 内視鏡検査・画像診断(CT・MRIなど)
  • 細胞診・組織診(生検による確定診断)
  • ステージ分類と進行度の評価(TNM分類)

それぞれについて順に説明していきます。

内視鏡・画像検査(CT・MRIなど)

咽頭がん・喉頭がんの診断では、内視鏡検査と画像診断が欠かせません。がんの場所や広がりを正確に把握し、治療計画を立てるための基本的な検査です。

主な検査の種類と特徴

1.内視鏡検査

  • 細いカメラをのどに入れて直接観察します。
  • 多少の違和感や吐き気を感じることがありますが、痛みはほとんどありません。
  • 必要に応じて小さな組織を取ることがありますが、麻酔を使うため大きな痛みはありません。

2.CT検査(コンピューター断層撮影)

  • 体の中を輪切りにした画像を撮り、がんの大きさや広がりをチェックします。
  • リンパ節にがんが広がっていないかも確認します。

3.MRI検査(磁気共鳴画像法)

  • CTではわかりにくい部分や、周りの軟らかい組織まで詳しく見られます。
  • 検査中は狭い管の中に入り、音が大きいことがありますが、痛みはありません。

細胞診・組織診(生検による確定診断)

咽頭がん・喉頭がんを確実に診断するためには、細胞や組織の検査が欠かせません。これを「生検(せいけん)」と呼びます。

1.細胞診断

  • のどの表面から細胞を採取して、がん細胞がないか顕微鏡で調べます。
  • 痛みはほとんどなく、短時間で終わります。

2.組織診(生検)

  • がんが疑わしい部分から小さな組織を取ります。
  • 局所麻酔を使用し、多少の痛みや不快感を伴うことがあります。
  • 正確な診断と治療方針を決めるために重要です。

ステージ分類と進行度の評価(TNM分類)

咽頭がん・喉頭がんの診断がついたら、次にがんの進み具合(進行度)を調べます。これは治療の計画を立てるうえでとても大切です。

よく使われる方法が「TNM分類」です。これは次の3つのポイントでがんの状態を判断します。

  • T(Tumor/腫瘍):がんの大きさや広がり
  • N(Node/リンパ節):がんが近くのリンパ節に広がっているかどうか
  • M(Metastasis/転移):肺や骨など、離れた場所にがんが広がっているか(転移)

これらを組み合わせて、がんの進行度をステージ0(ごく初期)からステージIV(遠くまで広がった進行がん)までに分類します。ステージが上がるほど、がんが体に広がっていることを意味します。

咽頭がん・喉頭がんの治療方法

咽頭がん・喉頭がんの治療方法

咽頭がんや喉頭がんと診断されると、「どんな治療があるのか」「完治できるのか」といった不安がよぎるかもしれません。治療の選択は、がんの進行度や患者さんの体力や健康状態に合わせて決められます。医師としっかり相談しながら、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。

ここでは、がんが初期の段階で行われる治療から、進行した場合の治療、そして治療後の再建やリハビリについて、主な方法をわかりやすくご紹介します。

  • 初期がんの治療(手術・放射線治療)
  • 進行がんの治療(化学放射線療法・切除術)
  • 再建手術・リハビリテーション(音声・嚥下機能の回復)

それぞれの治療について、詳しく解説していきます。

初期がんの治療(手術・放射線治療)

咽頭がんや喉頭がんは、がんができる場所によって症状や治療法が異なります。ここでは、それぞれの部位ごとにどのような特徴があり、どんな治療が行われるのかをわかりやすくまとめました。

【咽頭がん】
1.上咽頭がん

  • 鼻の奥にあり、脳に近いため手術は難しい
  • 主に放射線治療で対応
  • 皮膚の赤み、口内炎、倦怠感などの副作用があることも
  • 体への負担は比較的少ない
  • 早期治療で完治の可能性あり

2.中咽頭がん

  • 手術、放射線治療、または両方を組み合わせて治療
  • 声や飲み込みの機能をできるだけ残すことを重視
  • 手術は入院・回復期間が必要で、痛みや腫れの負担あり
  • 放射線治療の副作用に口内炎やのどの痛みがある
  • リハビリが重要
  • 早期治療で完治が期待できる

3.下咽頭がん

  • 手術で切除が多いが、進行度によっては放射線治療も実施
  • 飲み込みの機能を守ることが大切
  • 術後リハビリが必要な場合あり
  • 食事や話し方に影響が出ることもあるため生活支援が必要
  • 早期発見で完治可能

【喉頭がん】

  • 声帯を中心に発生し、声のかすれが早期に現れる
  • 初期は声帯の声を出す機能を温存しつつ、放射線治療や部分切除を行う
  • 副作用にのどの痛みや乾燥感がある
  • 声を守りながら治療し、早期なら完治の可能性あり

いずれの治療法も体への負担はある程度ありますが、できるだけ生活への影響を抑えながら行われます。治療後も再発を防ぐために、定期的な検診やフォローアップが非常に重要です。

進行がんの治療(化学放射線療法・切除術)

咽頭がんや喉頭がんの進行がんは、がんが広がりやすく治療も複雑になります。ここでは、部位ごとの特徴と主な治療法についてわかりやすくまとめました。

【咽頭がん】
1.上咽頭がん

  • 進行すると周囲の神経や組織に影響を及ぼしやすい
  • 化学放射線療法(抗がん剤と放射線の併用)が中心となることが多い
  • 副作用として、倦怠感や口内炎、皮膚の炎症が出る場合がある
  • 体への負担は大きくなるが、根治を目指す治療として重要

2.中咽頭がん

  • 化学放射線療法が主な治療法で、手術が必要になる場合もある
  • 声や飲み込み機能をできるだけ温存しながら治療を進める
  • 副作用に口内炎、のどの痛み、味覚障害などがあり、治療中のケアが大切
  • 治療後のリハビリが必要なことが多い

3.下咽頭がん

  • 手術による切除が行われることが多いが、化学放射線療法が選ばれることもある
  • 飲み込み機能の低下が起こりやすいため、術後のリハビリやサポートが不可欠
  • 生活の質を維持するため、食事や発声のケアが重要

【喉頭がん】

  • 進行すると呼吸困難や嚥下障害を伴うことがある
  • 化学放射線療法や広範囲の切除手術が行われる
  • のどの痛み、乾燥感、倦怠感などの副作用がある
  • 声を出す機能をできるだけ守る治療が難しい場合もあり、術後のリハビリや補助が必要

再建手術・リハビリテーション(音声・嚥下機能の回復)

咽頭がんや喉頭がんの治療後は、音声や嚥下機能が低下することがあります。ここでは、再建手術やリハビリテーションのポイントをまとめました。

【再建手術】

  • がんを取り除いたあとなくなった部分や機能をできるだけ元に戻すために行われる
  • 声や飲み込みの力を改善することを目指す
  • 自分の体の組織や人工の材料を使った再建方法がある
  • 患者さんの状態やがんの広がりによって、一番合った方法が選ばれる

【リハビリテーション】

  • 声やのどの動きを取り戻すための練習を支援する
  • 発声や飲み込みのトレーニングが中心
  • 専門の言語聴覚士さんが、ひとりひとりに合わせてサポートする
  • 治療が終わったら、できるだけ早く始めるのが望ましい

【生活への影響とサポート】

  • 声や飲み込みの力が弱くなると、日常生活に困ることも出てくる
  • ご家族や医療チームと協力しながら、少しずつ回復を目指す
  • 心のケアもとても大切

再建手術やリハビリは決して簡単な道ではありませんが、一歩ずつできることを積み重ねていくことが大切です。焦らず、ご自身のペースで向き合っていきましょう。

咽頭がん・喉頭がんの予防と再発防止

咽頭がん・喉頭がんの予防と再発防止

咽頭がん・喉頭がんと診断された方や、発症リスクが高いと言われた方が気になるのは、「どうすれば再発を防げるのか」「そもそも発症を予防できるのか」ということではないでしょうか。これらのがんは、治療後も再発のリスクがあるため、普段の生活習慣や定期検診、ウイルス感染の管理がとても大切です。

ここでは、以下の3つのポイントを中心に、予防と再発防止のために意識したいことをお伝えします。

  • 禁煙・節酒の習慣づけ
  • 定期検診と早期発見の継続
  • HPVワクチンと感染予防

それぞれ詳しく見ていきましょう。

禁煙・節酒の習慣づけ

喉頭がんや咽頭がんのリスクを下げるためには、生活習慣の見直しがとても大切です。特に「禁煙」と「節酒」は発症や再発の大きな要因となるため、意識して改善することでリスクを減らせます。以下のポイントを参考にしてみてください。

  1. 禁煙
  • 喫煙者は非喫煙者の約3〜数十倍、咽頭・喉頭がんのリスクが高い
  • タバコの有害物質が喉に直接影響を与えるためリスク増加
  • 禁煙を続けることで発症・再発リスクを大幅に減らせる
  1. 節酒(飲酒の節度)
  • 大量飲酒者はほとんど飲まない人より発症リスクが約2〜4倍高い
  • 飲酒は喉の粘膜を傷つけ、がんの発生を促す可能性がある
  • 飲酒量を控えめにすることでリスクを下げられる

定期検診

咽頭がん・喉頭がんは再発のリスクがあるため、治療後も継続的な検診が非常に重要です。再発や新たながんの発見を遅らせないために、次のような検査が定期的に行われます。

<定期検診の実施>

再発は治療後数年以内に起こることが多く、初期段階では自覚症状が出にくい場合もあります。そのため、以下の検査が欠かせません。

  • 内視鏡検査:のどの内部を直接観察し、異常の早期発見を目指す
  • 画像検査(CTやMRIなど):がんの再発や転移を確認する

これらの検査を定期的に続けることで、再発や新たながんを早期に発見し、適切な治療を速やかに始めることが可能になります。

HPVワクチンと感染予防

まだ感染していない方や、周りの人への感染リスクを減らすために、感染予防はとても大切です。

1.ワクチンで予防できるがん
HPVワクチンは、主に子宮頸がんの予防に使われていますが、咽頭がんや喉頭がんの中でも、特に「中咽頭がん」の一部はHPV感染が関係しているため、ワクチン接種で予防効果が期待できます。具体的にはHPV16型、18型の感染を防ぎます。

2.ワクチンの活用
対象年齢の方(主に小学6年生から高校1年生:おおよそ12~16歳)は、積極的に接種を検討しましょう。できるだけ早く接種することで効果が高まります。

3.感染予防のポイント
HPVは主に性的接触で感染します。
・パートナーと感染リスクについて話しましょう。
・家族にも予防の大切さを伝えてください。
・定期検査とワクチン接種が効果的です。

まとめ:咽頭がん・喉頭がんを理解し、自分らしく生きるために

まとめ:咽頭がん・喉頭がんを理解し、自分らしく生きるために

咽頭がんや喉頭がんと診断されると、これからのことに不安や戸惑いを感じる方が多いと思います。声が出しにくくなったり、話すことや飲み込みが難しくなるのではないか、治療で生活の質が大きく変わってしまうのではと心配になることもあるでしょう。

でも、こうした病気について正しい知識を持つことは、あなた自身が納得できる選択をするための大切な第一歩です。情報を得ることで気持ちが少し軽くなる方もいれば、一度にたくさんの情報に戸惑うこともあるかもしれません。だからこそ、自分のペースで、必要なことから少しずつ知っていくことが大切です。

医療は日々進歩しており、声や飲み込みの機能をできるだけ守るための治療法や、術後のリハビリなどのサポート体制も広がっています。つらい時や先が見えにくい時も、あなたやご家族が安心して前に進めるような支えが必ずあります。本記事が、そんな信頼できる情報との出会いとなり、少しでも心の負担を和らげ、希望の光となれば嬉しいです。

焦らず、無理せず、一歩ずつ。あなたと大切な人の笑顔が続く未来を願って、今日からまた歩みを進めていきましょう。

※本記事は医療専門ライターによる寄稿であり、診療行為・医師の個別見解を示すものではありません。治療に関するご不安は、必ず主治医にご相談ください。

 

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