大腸がんと向き合う:診断・治療・これからの生活について知る
大腸がんと診断されたとき、多くの方がこれからのことに不安を感じるかもしれません。治療はどう進めるのか、生活はどう変わるのか、ご家族も含めてさまざまな思いがよぎることでしょう。
大腸がんは、日本で比較的多いがんの一つですが、早期発見と適切な治療によって克服できる可能性が高い ことが分かっています。まずは、大腸がんについて正しく知ることが、安心して治療に向き合うための第一歩になります。
本記事では、大腸がんの基本情報や原因、治療方法について、できるだけ分かりやすく解説していきます。不安を少しでも和らげられるよう、丁寧にお伝えしていきますので、一緒に学んでいきましょう。
本記事は、化学工業薬品や水質管理薬品の製造販売で長年の実績を持ち、基礎研究で培った最先端の技術を幅広い産業分野に展開してきた『新日本化成 ヘルスデザインラボ』が監修しています。
目次
はじめに:大腸がんとは?

はじめに:大腸がんとは?
大腸がんは、日本で多くの方が罹患するがんの一つです。近年、検診や医療技術の進歩により、早期発見・治療によって克服できる可能性が高まっている ことが分かっています。しかし、「大腸がん」と診断されたとき、これからの治療や生活に不安を感じるのは当然のことです。
まずは、大腸がんがどのような病気なのかを知ることが、安心して治療と向き合うための第一歩 になります。
本章では、大腸がんの基本情報と、日本における罹患率・死亡率について、分かりやすく解説していきます。
- 大腸がんの基本情報(結腸がん・直腸がんの違い)
- 日本における大腸がんの罹患率と死亡率
一つ一つ見ていきましょう。
大腸がんの基本情報(結腸がん・直腸がんの違い)
大腸がん とは、大腸の内側を覆う粘膜の細胞が異常増殖し、腫瘍を形成する病気です。大腸は「結腸」と「直腸」に分かれており、がんが発生する部位によって「結腸がん」と「直腸がん」に分類 されます。
- 結腸がん(約7割):大腸の上部(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)に発生するがん
- 直腸がん(約3割):肛門に近い直腸に発生するがん

■結腸がんと直腸がんの違い
・発生しやすい部位が異なる
結腸がんはS状結腸(大腸の終わりに近い部分)に多く、直腸がんは肛門に近い部分に発生しやすい傾向があります。
・症状の出方が異なる
結腸がんは 便秘や腹痛 などの症状が比較的多く、直腸がんは 血便や排便時の違和感 などが特徴的です。
・治療法に違いがある
直腸がんは肛門に近いため、手術後の排便機能を維持するための治療計画が重要になります。一方、結腸がんは腸の一部を切除する手術が主流です。
日本における大腸がんの罹患率と死亡率
大腸がんは、日本で最も多いがんの一つであり、年々患者数が増加しています。

参照:日経Gooday「大腸がんは早期発見なら治る! AIがサポートする大腸内視鏡も活躍」
- 大腸がんの罹患率(どれくらいの人がなるのか?)
・日本では 年間約15万人 が新たに大腸がんと診断されています。
・男女ともに罹患数が多く、特に50歳以上で増加 する傾向があります。
・食生活の欧米化(高脂肪・低食物繊維の食事)が影響しているとも言われています。
- 大腸がんの死亡率(どれくらいの人が亡くなるのか?)
・大腸がんは、日本人のがん死亡原因の上位 に位置しています。
・しかし、早期発見・早期治療により生存率は大きく向上 しています。
○早期の大腸がん(ステージ1)では、5年生存率は約90%以上
○進行がん(ステージ4)でも、治療の進歩により生存率が向上
- 近年の傾向と早期発見の重要性
✓定期検診の受診率が上がるにつれ、早期発見が増えている
✓早期発見できれば、手術や内視鏡治療での完治が期待できる
✓進行がんでも新しい治療法により、より長く生活できる可能性が高まっている
大腸がんの原因とリスク要因

大腸がんの原因とリスク要因
がんの発症には、食生活や生活習慣、遺伝的な要因が複雑に関係している ことが分かっています。しかし、どんなに健康的な生活を送っていても、大腸がんになる人はいます。大腸がんの発症には多くの要因が絡んでおり、特定の原因だけで説明できるものではない からです。
この章では、これまでの研究で分かっている大腸がんの主な要因について解説していきます。
- 食生活(高脂肪・低食物繊維・加工食品の影響)
- 遺伝的要因と家族歴
- 生活習慣(運動不足・喫煙・飲酒)
それぞれご解説していきます。
食生活(高脂肪・低食物繊維・加工食品の影響)
食生活は、大腸の環境に大きく影響を与えます。特に、脂肪分の多い食事、食物繊維の少ない食事、加工食品の摂取が多い食生活 は、大腸がんとの関連が指摘されています。
- 高脂肪食と大腸がん
脂肪分の多い食事は、腸内環境に影響を与えます。特に、動物性脂肪(赤身肉や加工肉など) を多く摂取すると、大腸内で炎症が起こりやすくなると考えられています。ただし、すべての脂肪が悪いわけではなく、魚に含まれる オメガ3脂肪酸 などは、体に良い影響を与える可能性があるとされています。
- 食物繊維の不足
食物繊維は腸内環境を整える役割を持っています。便の通りをスムーズにするだけでなく、腸内の有害物質を排出する働きもあるため、不足すると腸内に炎症が起こりやすくなることがあります。
- 加工食品の影響
ハム・ソーセージ・ベーコンなどの 加工肉 や、揚げ物などの 高度に加工された食品 は、大腸に負担をかける可能性があるとされています。特に、発がん性が指摘されている食品添加物や保存料の影響も懸念されています。
ただし、「〇〇を食べたからがんになった」というわけではありません。これらの要因が複合的に絡み合い、がん細胞が発生するまでにはさまざまな過程があります。
遺伝的要因と家族歴
「家族に大腸がんの人がいたから、自分もなったのか…?」と考えてしまうことがあるかもしれません。大腸がんは 遺伝的な要因 も関係していることが分かっていますが、すべての大腸がんが遺伝によるものではありません。
- 遺伝性大腸がんとは?
大腸がんの一部は、「遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)」 や 「家族性大腸腺腫症(FAP)」 という、特定の遺伝子変異によって発症することが分かっています。これらは 遺伝性大腸がん と呼ばれ、家族に同じがんを発症した人がいる場合に、発症リスクがやや高くなることがあります。
ただし、ほとんどの大腸がんは 遺伝だけで決まるわけではなく、環境要因(食生活や生活習慣)と組み合わさることで発症する と考えられています。
- 家族歴があるとどうなるのか?
もし、ご家族に大腸がんの方がいる場合は、医師にそのことを伝えることが重要 です。家族歴がある方は、一般的なスクリーニングよりも早い段階で大腸内視鏡検査を勧められることがあります。
しかし、たとえ家族に大腸がんの人がいなくても がんになることはあります。逆に、家族に大腸がんの人がいても、一生がんにならない人もいます。「遺伝だから仕方ない」と思い込む必要はありません。
生活習慣(運動不足・喫煙・飲酒)
生活習慣の中には、大腸の働きに影響を与えるものがあります。
- 運動不足と大腸がん
運動不足は、大腸の動きを鈍らせ、便の通過時間を長くすることが知られています。便が長時間大腸内にとどまると、発がん性物質の影響を受けやすくなる可能性があります。
ただ、がんと向き合う中で「運動しなきゃいけないの?」と負担に感じる必要はありません。もし体調が許すなら、軽いストレッチや散歩など、できる範囲で動くことが大切 です。
- 喫煙と大腸がん
喫煙は、大腸がんを含む多くのがんのリスクを高める要因とされています。タバコに含まれる有害物質は、血流を通じて全身の細胞に影響を与えます。
しかし、すでにがんになった方にとって、禁煙を無理にすすめることが良いとは限りません。ストレスを増やすことが逆効果になることもあるため、無理せず、ご自身のペースで考えることが大切 です。
- 飲酒と大腸がん
アルコールは肝臓で分解される際に、発がん性のある「アセトアルデヒド」を生成します。特に、多量飲酒(1日2合以上の飲酒)は、大腸がんのリスクを高める ことが分かっています。
ただ、「お酒を飲んでいたからがんになった」というわけではありません。もし今後の生活で気をつけたいと思ったときに、飲酒量を少し減らすだけでも、体にとってプラスになる かもしれません。
大腸がんの症状と早期発見の重要性

大腸がんの症状と早期発見の重要性
大腸がんと診断された方の多くが、「そういえば、前からお腹の調子が悪かった」「もっと早く気づけていたら…」と振り返ることがあります。ですが、大腸がんは初期のうちは症状がほとんどないことも多く、気づくのが難しい病気 です。
進行するにつれて、便通の異常や体調の変化が現れることがありますが、「たまたま体調が悪いだけ」「ストレスのせいかも」と考え、そのままにしてしまうことも少なくありません。
この章では、大腸がんの 初期症状、進行した場合の症状 について、わかりやすく解説します。
- 初期症状(血便・便秘・下痢・腹痛)
- 進行した場合の症状(体重減少・貧血・腸閉塞)
- 定期検診の重要性(大腸内視鏡検査・便潜血検査)
一つ一つ解説していきます。
初期症状(血便・便秘・下痢・腹痛)
大腸がんの初期段階では、自覚症状がほとんどない か、あっても軽い違和感程度のことが多いです。そのため、気づかないうちに病気が進行していることもあります。
以下のような症状が 「なんとなく続いている」 場合は、注意が必要です。
- 血便・便に血が混じる
・便に赤い血が混ざる・便の表面に血がつく
・黒っぽい便が続く(消化管で出血している可能性)
血便があると、「痔かな?」と考える方も多いですが、痔と違い、大腸がんの場合は痛みがないことが多い です。また、少量の出血でも繰り返す場合は、内視鏡検査を受けたほうが良いでしょう。
- 便秘と下痢を繰り返す
・便が細くなる(腸の内側が狭くなっている可能性)
・下痢と便秘を交互に繰り返す
腸の一部が狭くなり、便がスムーズに通らなくなると、便秘が起こりやすくなります。一方で、腸の働きが乱れることで下痢が続くこともあります。これらが長期間続く場合は、大腸の異常のサインかもしれません。
- 慢性的な腹痛やお腹の張り
・なんとなくお腹が張る・違和感が続く
・排便後もスッキリしない感覚がある
腸にがんができると、腸の動きが悪くなったり、ガスがたまりやすくなったりします。そのため、なんとなくお腹の調子が悪い状態が続く ことがあります。
これらの症状は、疲れやストレス、お腹の冷えなどによる一時的なものと区別がつきにくい ため、つい様子を見てしまうことが多いです。ですが、「いつもと違うな」と感じる違和感が続く場合は、医師に相談することが大切です。
進行した場合の症状(体重減少・貧血・腸閉塞)
大腸がんが進行すると、体にさまざまな変化が現れることがあります。
- 体重が急に減る
・特にダイエットをしていないのに体重が減る
・食欲がなくなる・食べる量が減る
がん細胞は、体のエネルギーを消費しやすいため、進行すると 急に体重が減る ことがあります。特に、6か月で5kg以上減る 場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。
- 貧血(顔色が悪い・疲れやすい)
・息切れしやすい・疲れやすい
・めまいや立ちくらみが起こる
大腸がんは、少しずつ出血を続けていることがあり、知らないうちに貧血になっていることも あります。「最近なんとなく疲れやすい」「立ちくらみが増えた」と感じる場合は、体のサインかもしれません。
- 腸閉塞(便が出ない・激しい腹痛)
・ガスや便が全く出なくなる
・激しい腹痛や吐き気がある
大腸がんが進行すると、腸が狭くなり、完全に詰まってしまう(腸閉塞) ことがあります。腸閉塞になると、便やガスが出なくなり、激しい腹痛や嘔吐が起こります。この場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
定期検診の重要性(大腸内視鏡検査・便潜血検査)
大腸がんは、早い段階で見つかれば治療が可能な病気 です。そのため、がんを早期に発見するためには 大腸内視鏡検査や便潜血検査 が有効です。
- 便潜血検査(手軽に受けられる)
・便の中に血が混ざっていないか調べる検査
・痛みがなく、簡単にできる
・1年に1回受けることが推奨されている
便潜血検査は、自覚症状がない段階で異変を見つける手がかり になります。ただし、血が混ざらないタイプのがんもあるため、精密検査が必要なこともあります。
- 大腸内視鏡検査(より詳しく調べる)
・カメラで腸の中を直接見る検査
・がんの発見だけでなく、ポリープをその場で切除できる
・定期的に受けることで、がんになる前の段階で対応できる
大腸内視鏡検査は、「少し怖い」と感じる方もいるかもしれませんが、医療機関によっては鎮静剤を使って負担を減らせるところもあります。
大腸がんの診断と検査方法

大腸がんの診断と検査方法
大腸がんと診断されたとき、「どのくらい進行しているのか」「治療はどんな選択肢があるのか」と、さまざまな疑問や不安が浮かぶかもしれません。大腸がんの診断には、どの段階で見つかったのか、がんがどの程度広がっているのかを正確に把握すること がとても重要です。
検査を受けること自体に不安を感じることもあるかもしれませんが、現在の医療技術は進歩しており、患者さんの負担をできるだけ減らしながら、より正確な診断を行うことが可能 になっています。
本章では、大腸がんの診断と検査方法について詳しく解説していきます。
- 便潜血検査の役割
- 大腸内視鏡検査とポリープ発見
- CT・MRI・PET検査による進行度の評価
上から解説していきます。
便潜血検査の役割
便潜血検査は、大腸がんを疑う最も基本的なスクリーニング検査の一つです。便の中に目に見えない微量の血液が含まれているかを調べる ことで、大腸の異常を早期に発見する手がかりになります。
■便潜血検査の仕組み
・便の中に血液が含まれているかを調べる検査
・大腸がんやポリープの出血を発見するのに役立つ
・検査方法は簡単で、痛みがない
便潜血検査は、自宅で簡単にできる検査ですが、あくまでスクリーニング(ふるい分け) です。便潜血検査で陰性(異常なし)だったとしても、大腸がんが完全に否定されるわけではありません。反対に、陽性(異常あり)の場合も、必ずしもがんがあるとは限らず、ポリープや痔が原因で出血していることもあります。
便潜血検査で陽性が出た場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが重要 になります。
大腸内視鏡検査とポリープ発見
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸の中を直接観察し、異常がないか詳しく調べる検査です。がんの発見だけでなく、ポリープ(がんになる前の病変)を切除することもできる ため、非常に重要な検査とされています。
- 大腸内視鏡検査の特徴
・細いカメラを大腸の奥まで挿入し、直接観察する
・がんの発見率が高く、ポリープも見つけやすい
・必要に応じて、その場で組織を採取(生検)して診断できる
- ポリープとがんの関係
大腸ポリープの多くは良性 ですが、一部は時間の経過とともに がん化 することがあります。そのため、ポリープが発見された場合は、がんになる前に切除することで、大腸がんのリスクを減らせる 可能性があります。
・ポリープが小さい場合は、その場で切除(内視鏡的ポリープ切除術)できる
・ポリープの組織を詳しく調べることで、がんの可能性があるか診断できる
- 内視鏡検査に対する不安と対策
大腸内視鏡検査に対して、「痛そう」「つらそう」と不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、最近では鎮静剤(軽い麻酔)を使用し、眠ったような状態で検査を受けることも可能 です。
・鎮静剤を使うと、ほぼ痛みを感じずに検査を受けられる
・検査時間は15〜30分程度
検査の前には腸の中をきれいにするための 下剤を飲む必要がありますが、飲みやすいタイプの下剤も増えています。
CT・MRI・PET検査による進行度の評価
大腸がんと診断された後、次に重要なのは 「がんがどのくらい広がっているか」 を正確に評価することです。そのために、CT・MRI・PETなどの画像検査 を行います。
- CT検査(コンピューター断層撮影)
・がんがどこまで広がっているかを確認する
・特に、肺や肝臓への転移を調べるのに有効
・検査時間は数分程度で、比較的簡単に受けられる
CT検査は、造影剤(血管やがんをより鮮明に映す薬)を使用することが多い です。造影剤を使うことで、がんの広がりや転移の有無がよりはっきり分かります。
- MRI検査(磁気共鳴画像診断)
・特に直腸がんの診断に有効
・がんの深達度(どのくらい深く広がっているか)を詳しく調べられる
・放射線を使わないため、体への負担が少ない
MRIは、特に 直腸がんの進行度を詳しく調べる ために用いられることが多く、手術の方針を決めるのに役立ちます。
- PET検査(陽電子放射断層撮影)
・がん細胞の活動を画像で確認できる
・転移が疑われる場合に、より詳細な評価ができる
・がんの再発チェックにも使用されることがある
PET検査は、体内のがん細胞がどれくらい活発に活動しているかを可視化する検査 です。大腸がんの診断では 転移や再発の確認のために行われることが多い です。
大腸がんの治療方法

大腸がんの治療方法
大腸がんと診断されたとき、「どんな治療を受けることになるのか」「自分に合った治療法はあるのか」と不安に感じることがあるかもしれません。大腸がんの治療は、がんの進行度や患者さんの体の状態に合わせて選択されるため、すべての人が同じ治療を受けるわけではありません。
本章では、大腸がんの治療方法について、わかりやすく解説していきます。
- 便潜血検査の役割
- 大腸内視鏡検査とポリープ発見
- CT・MRI・PET検査による進行度の評価
それぞれ解説していきます。
早期がんの治療(内視鏡的切除術)
がんが粘膜内や浅い層にとどまっている場合、大腸内視鏡を使ってがんを取り除くことが可能です。この方法は、手術をせずに治療が完了するケースもある ため、早期がんに対して非常に有効な治療法です。
- 内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
・がん化の可能性があるポリープを切除する治療
・大腸カメラ(内視鏡)を挿入し、ポリープを電気メスなどで切除する
・入院せずに日帰りでできることもある
小さなポリープや、がん化する前の腫瘍は この治療だけで完治する場合もあります。
- 内視鏡的粘膜切除術(EMR)・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
・がんが粘膜にとどまっている場合に有効
・がんの下に薬を注入し、浮かせて切除する
・大きめの病変にも対応可能
この方法は、通常のポリープ切除では難しい 少し大きめの病変や、がんが粘膜内にとどまっているケース で行われます。
内視鏡治療が適応できるかどうかは、がんの大きさや浸潤の深さによって決まるため、事前の診断がとても重要 です。
進行がんの治療(手術・化学療法・放射線療法)
がんが進行している場合は、手術によるがんの切除が基本 となります。また、転移や再発のリスクを抑えるために、化学療法(抗がん剤)や放射線治療が併用されることもあります。
- 外科手術(がんを切除する手術)
・がんが広がっている場合、大腸の一部を切除する
・場合によっては、人工肛門(ストーマ)の造設が必要になることも
・腹腔鏡手術やロボット支援手術など、負担を軽減する方法も選択可能
手術には、開腹手術(お腹を大きく開ける方法)と、腹腔鏡手術(小さな穴を開けて行う方法)があります。現在は、腹腔鏡手術やロボット支援手術の技術が進歩し、できるだけ体に負担の少ない方法が選ばれることが多くなっています。
- 化学療法(抗がん剤治療)
・手術後の再発予防や、転移がある場合の治療に使われる
・経口薬(飲み薬)や点滴での治療がある
・副作用として、吐き気・脱毛・倦怠感などが出ることもある
抗がん剤は、がん細胞を攻撃するための薬ですが、正常な細胞にも影響を及ぼすことがあるため、副作用が出ることがあります。近年では、副作用を抑えながら治療を続けるための工夫も進んでおり、個々の体調に合わせた治療が可能 になっています。
- 放射線治療
・特に直腸がんに対して、手術前後に行われることがある
・がん細胞の増殖を抑え、転移や再発を防ぐ
・痛みを和らげる目的で行う場合もある
直腸がんでは、がんが肛門に近い場合、手術の前に放射線治療を行うことで、腫瘍を小さくして、できるだけ肛門を温存する治療 が選択されることもあります。
最新の治療法(ロボット支援手術・免疫療法)
近年、大腸がん治療の分野では、新しい治療法が次々と開発されています。
- ロボット支援手術
・より精密な手術が可能
・腹腔鏡手術と同様に、傷口が小さく回復が早い
・医師の手ぶれを防ぎ、より安全に手術ができる
ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)は、医師がロボットアームを操作して行う手術で、従来の腹腔鏡手術よりも細かい動きが可能 になっています。
- 免疫療法(がんの免疫チェックポイント阻害薬)
・体の免疫を活性化させ、がん細胞を攻撃する治療
・特定の遺伝子変異(MSI-Highなど)がある患者さんに有効
・副作用が少ないケースもあり、今後の治療法として注目されている
免疫療法は、特定の患者さんに対して効果が期待される治療法であり、今後さらに研究が進むことで、より多くの方に適用される可能性があります。
まとめ:大腸がんのリスクを減らし、早期発見・治療を

まとめ:大腸がんのリスクを減らし、早期発見・治療を
大腸がんと診断されると、「これからどうなるのだろう」「どんな治療が必要なのか」と、さまざまな不安を感じるかもしれません。しかし、大腸がんは早期発見できれば治療が可能であり、進行がんでも新しい治療法が確立されつつあります。
この記事では、大腸がんについて詳しく解説してきました。最後に、これまでのポイントを振り返りながら、前向きに治療と向き合うための視点をお伝えします。
- 大腸がんは、部位によって症状や治療法が異なる
・大腸がんは「結腸がん」と「直腸がん」に分けられる
・結腸がんは便秘や腹痛、直腸がんは血便などの症状が出やすい
・治療法も部位によって異なり、直腸がんは放射線治療が選択されることもある
- 大腸がんの診断には、さまざまな検査が必要
・便潜血検査 は、がんの可能性を見つける手がかりになる
・大腸内視鏡検査 で、ポリープや早期がんを発見・切除できる
・CT・MRI・PET検査 で、がんの進行度や転移の有無を調べる
- 治療法は進行度に応じて選択される
・早期がん は内視鏡で切除できることもある
・進行がん では手術が基本となり、化学療法や放射線治療を組み合わせる場合もある
・ロボット支援手術や免疫療法 など、新しい治療法も増えている
- これからの生活を大切に
大腸がんの治療は、一人ひとりに合った方法を選ぶことが大切
体調の変化や治療の不安がある場合は、医師や専門家に相談を
焦らず、自分のペースで病気と向き合うことが大切
大腸がんと診断されても、決して一人ではありません。現在の医療は進歩しており、治療の選択肢も広がっています。つらいときは周囲に頼りながら、少しずつ前を向いて進んでいきましょう。
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