元看護師が答える がん治療の不安Q&A【検査編】

がんの治療が始まると、「検査ってどんなことをするの?」「痛い検査はあるの?」「結果が出るまで不安…」と、わからないことや心配な気持ちが次々に出てきます。ご本人だけでなく、ご家族も「どう支えたらいいの?」「仕事や生活は続けられるの?」と、不安が尽きないことも少なくありません。

本記事の執筆者は、これまでがん患者さんとご家族のサポートに携わってきた経験を持つ元看護士の医療専門ライターです。本記事では医療現場で多くの患者さんやご家族を支えてきた経験をもとに、がんの検査に関してよく聞かれる質問をQ&A形式でやさしく解説します

検査の内容や流れ、準備のポイント、待ち時間の過ごし方などを整理することで、少しでも不安を和らげ、安心して検査に臨めるヒントになれば幸いです。

はじめに──がん検査の不安は、誰にでもある自然な気持ちです

はじめに──がん検査の不安は、誰にでもある自然な気持ちです

「検査って何をするの?」「痛いのかな」「結果を聞くのが怖い」—そんな思いが頭をよぎるのは、とても自然なことです。

初めての経験に対して、不安や緊張を感じるのは当然ですし、自分を責める必要はありません。検査を受ける方だけでなく、ご家族もまた、そわそわと落ち着かない気持ちを抱えているものです。

私が看護師として接してきた患者さんやご家族の多くも、検査に対して多かれ少なかれ不安を抱えていました

ですが、流れを知っているだけで、「何が起こるか分からない」という漠然とした不安は、ぐっと小さくなります。

「検査って何をするの?」「結果が出るまで不安」──検査のリアルQ&A

「検査って何をするの?」「結果が出るまで不安」──検査のリアルQ&A

ここからは、がん検査を受ける前に知っておくと安心につながるQ&Aを紹介します。

Q1. がんの検査ってどんなことをするの?

がんの検査は、一度で終わるものではなく、いくつかの段階を踏みながら進めていきます。順番や内容を知っておくと、心構えも少し楽になります。

主な流れは次のとおりです。

1.問診・触診:症状や体の状態を医師が確認します。気になることは遠慮せず伝えることが大切です。

2.血液検査・画像検査(CT・MRI・PETなど):体の内部を詳しく調べます。検査ごとに時間や手順が異なりますが、医療スタッフがサポートしてくれます。

3.組織検査(生検):必要に応じて細胞を採取し、がんかどうかを確定します。少し緊張するかもしれませんが、安全に行われます。

4.病期(ステージ)の判定:がんの進行度を確認し、今後の治療方針を決めます。

どの検査も、「治療を安全に、適切に進めるための大切なステップ」です。流れを理解しておくことで、不安も少し和らぎます。

Q2. どんな検査を受ければいいの?全部受けたほうがいいの?

はい、医師が勧めた検査は受けるのが安心です。検査には、それぞれちゃんと意味があります。たとえば、「肺がんのリスクがある」と言われた場合でも、肺だけを調べるわけではありません。

  • 血液検査:全身の臓器の状態をチェック
  • 画像検査(CT・MRI・PETなど):臓器の形や異常の有無を確認
  • 組織検査(生検):疑わしい部位の細胞を採取して確定

こうした検査結果を総合して、医師は診断や治療方針を決めます。

ただ、こんな気持ちが出るのも自然です。
・「全部受ける必要があるのかな…」
・「痛みや不安が心配…」

そんなときは、遠慮せず医師や看護師に相談してください。検査の目的や流れ、必要性を丁寧に説明してもらえるので、納得して受けられます。不安な気持ちをそのままにせず、理由を理解して検査に臨むことで、心も少し落ち着きます

Q3. 痛い検査もあるの?心の準備はどうすれば?

はい、痛みを伴う検査もあります。でも、どの検査も医療スタッフが安全に配慮してくれますし、事前に説明を受けることができます。

たとえば:
・採血や点滴のルート確保
チクッとした痛みを感じることがありますが、ほんの一瞬です。
・組織を採る「生検(せいけん)」
局所麻酔を使います。部位によっては押されるような違和感や軽い痛みを感じることがありますが、麻酔で痛みは最小限に抑えられます。
・CTやMRIなどの画像検査
基本的に痛みはありません。造影剤を使う場合は、点滴で少しチクッとしたり、体が一時的に熱く感じることがあります。

検査前に「痛みに弱い」「不安が強い」など気になることは、遠慮せず医師や看護師に伝えてください。必要に応じて麻酔の種類を調整したり、スタッフがそばで声をかけながら進めてくれます。少しでも「何をされるのか」を知っているだけで、気持ちはぐっと落ち着きます。

Q4. 検査前にしておいた方がいい準備や注意はある?

検査には、採血やレントゲン、心電図などさまざまな種類があります。それぞれに備えた準備をしておくと、スムーズに受けられます

たとえば:

1.服装
・レントゲンやMRI・CTでは、金属類(ヒートテック、針金入りの下着、アクセサリーなど)は外す必要がある
・採血や点滴がしやすいように、袖がまくりやすい服で行くと安心

2.食事・水分
・検査内容によっては絶食や水分制限がある場合がある
・事前に医師や検査室の指示を確認すると安心

3.持ち物
・健康保険証、紹介状、検査に関する資料やメモを忘れずに持っていくと安心

4.体調
・体調が優れないときは無理せず、事前に相談すると安心です

事前に準備や注意点を確認しておくと、余計な不安を減らせます。「どんな服がいいか分からない」「食事はどうしたらいい?」など迷うことがあれば、遠慮せずスタッフに相談すると安心です

Q5. 検査にはどのくらい費用がかかる?保険は使えるの?

がんの検査は、ほとんどの場合、健康保険が使えます。そのため、自己負担は一定の範囲で抑えられます。

<保険が使える主な検査>
・血液検査:全身の状態を確認するための基本的な検査
・画像検査(CT・MRI・PETなど):臓器の形や異常の有無を確認
・組織検査(生検):疑わしい部位の細胞を採取して確定

これらは保険適用になるため、自己負担は数千円〜数万円程度になることが多いです。

<保険が使えない検査(保険適応外)>
・病気の診断や治療に必ずしも必要でない場合
 〇たとえば、症状がないのに希望して受ける全身スクリーニング検査
 〇健康診断でオプションとして受ける高度な画像検査(PET検査など)
予防や自己希望で行う検査
・最新の画像診断装置での詳細検査(施設や装置によって異なる)

保険適応外の検査は全額自己負担です。検査を受ける前に、費用や必要性を医師・看護師に確認しておくと安心です。不安や疑問はそのままにせず、遠慮なく相談してください。 理由や費用を理解して受けることで、心も少し落ち着きます。

Q6. 結果が出るまでどのくらい待つ?その間どう過ごせばいい?

検査結果が出るまでの期間は検査の種類によって異なります。
・血液検査:当日〜数日
・画像検査(CT・MRI・PETなど):数日〜1週間
・組織検査(生検):1〜2週間

がんの診断は1つの検査だけで決まるわけではありません。医師が総合的に、「がんかどうか」「どの段階(ステージ)か」「どんな治療を行うか」を判断します。そのため、最終的な確定診断までは2〜3週間、場合によっては1か月ほどかかることもあります

結果を待つ間は落ち着かないかもしれません。気になることをメモしておくと、次の診察で質問しやすくなり、不安も少し和らぎます。焦らず、体を休めながら過ごすことが大切です。

Q7. 検査で“がんかも”と言われたらどうすればいい?

「がんかも」と言われると、不安や怖さで胸がいっぱいになりますよね。それは自然な感情です。実際、次の検査まで日が空いたり、結果が出るまで時間がかかったりすることもあります。その間、不安になるのは誰にでもあることです。

<不安なときにできること>

1.家族や信頼できる人に話す
・不安を口に出すだけでも気持ちは少し楽になります。
・話す相手がいない場合は、看護師や医療ソーシャルワーカーに相談するのもおすすめです。

2.疑問や気になることをメモしておく
・次回の診察で質問しやすくなります。
・「どうしてこの検査が必要なのか」「結果はいつ出るのか」など、確認しておくと安心です。

3.無理に気持ちを押さえ込まない
・不安や涙は自然な反応です。
・深呼吸や軽い散歩など、できる範囲で気持ちを落ち着ける方法を取り入れてみましょう。

「まだ確定ではない」と理解するだけでも、心の負担は少し軽くなります。焦らず、一歩ずつ次の検査に備えていきましょう。

Q8. 検査結果が“異常なし”でも安心していいの?

検査結果が「異常なし」と出た場合、その時点では安心して大丈夫です。しかし、がんは誰にでも起こる可能性があります。そのため、定期的に検診を受けることが大切です。

ポイント
・異常がなかったことを過信せず、健康管理の一環として定期検診を継続する
・気になる症状が出た場合は、早めに医療機関に相談する
・心配な気持ちは自然なことなので、無理に押さえ込まず、家族や医療者に相談する

「今は異常なし」と安心しつつも、次回の検診を意識して生活することで、心も体も守ることができます。

Q9. 検査でミスや間違いは起きないの?

がん検査は便利で精度の高いものが増えていますが、100%正確ではありません。特に、症状がない人を対象にする「がん検診(健康診断やスクリーニング検査)」では、次のようなことが起こる可能性があります:
・偽陽性:実際は異常がないのに「異常あり」と出る
・偽陰性:実際は異常があるのに「異常なし」と出る

このため、検診の結果だけで判断せず、必要に応じて精密検査(CT・MRI・生検など)が行われます。精密検査は診断を確定するための検査で、精度は高いですが、完全に間違いがないわけではありません。

安心して検査を受けるポイント
・結果が気になるときは、遠慮せず医師や看護師に相談する
・検査の目的や限界を理解するだけでも、不安が少し和らぐ

セカンドオピニオンも活用しよう
・結果や診断に不安がある場合は、別の医療機関で意見を聞く「セカンドオピニオン」も選択肢です
・自分が納得できる治療方針を見つけるために、遠慮なく活用して大丈夫です

「検査は完璧ではない」と知り、必要なサポートや相談方法を活用することで、結果を待つ間も少し安心できます。

まとめ|不安を抱えながらでも、一歩ずつ進んでいけば大丈夫

まとめ|不安を抱えながらでも、一歩ずつ進んでいけば大丈夫

「検査って痛いのかな…」「結果が出るまで不安…」こうした気持ちは誰もが抱く自然なものです。無理に一人で抱え込まず、家族や医療者の支えを受けながら、少しずつ準備を進めましょう。

検査の流れや目的を知り、疑問や不安は遠慮せず相談することです。これだけで心の負担はぐっと減ります。採血や画像検査、生検など、それぞれの意味や注意点を理解しておくことも安心につながります。

結果を待つ間は落ち着かないかもしれません。気になることをメモして診察で確認したり、支援制度を活用したりすることで、不安を少しずつ和らげられます。

焦らず自分のペースで進め、頼れる人のサポートを受けながら検査に臨めば、少しずつ安心して過ごせる時間が増えていきます。

※本記事は医療専門ライターによる寄稿であり、診療行為・医師の個別見解を示すものではありません。治療に関するご不安は、必ず主治医にご相談ください。