白血病かもしれないと思ったら|症状・リスク・検査の流れをわかりやすく解説

白血病と診断されると、だるさ・出血・発熱といった症状に加え、「白血病は死んでしまう病気なのか」「どんな検査を受けるのか」と不安に思う方は少なくありません。ご本人だけでなく、ご家族も「どう支えればよいのか」と悩むことが多いでしょう。

しかし近年、白血病の治療は大きく進歩しており、入院や通院をしながらも日常生活や仕事を続けやすくなっています。薬の種類や治療法の選択肢も増え、より生活に合わせた治療が可能になってきました

執筆者は、大学病院の血液内科で看護師として白血病患者さんのケアに携わってきました。診断直後の不安や疑問、ご家族の葛藤に寄り添ってきた経験をもとに、本記事では白血病の基礎知識・症状・検査方法をわかりやすく解説します。

少しでも不安を和らげ、納得できる選択の助けとなれば幸いです。

白血病の治療・日常生活についての記事はこちら

白血病の治療とこれからの生活|再発予防・日常管理までわかる総合ガイド

はじめに|白血病とはどんな病気か

はじめに|白血病とはどんな病気か

白血病は、血液や骨髄の中でつくられる血球に異常が起きることで発症する血液のがんです。症状や進行のスピードは種類によって異なり、急性白血病では短期間で症状が現れるのに対し、慢性白血病ではゆっくり進行します。初期には自覚症状が少なく、だるさ・出血・発熱などが見逃されやすいこともあります。

ここでは、白血病が「どんな病気か」、「どのくらいの人がかかるのか」、「どんな要因で発症しやすいのか」といった基本的な情報から押さえていきましょう。

  • 白血病の基本情報(種類・特徴・年齢別の傾向)
  • 日本における白血病の罹患率と死亡率
  • 発症リスクと主な要因(喫煙・化学物質・遺伝など)

それでは、一つずつ見ていきましょう。

白血病の基本情報(種類・特徴・年齢別の傾向)

白血病は、骨髄(血液を作る臓器)で血液細胞ががん化する病気です。正常な血球が作られにくくなるため、貧血出血傾向感染症などの症状が現れます。

白血病は大きく「急性白血病と「慢性白血病に分かれ、さらに「骨髄性」と「リンパ性」に分類されます。種類や年齢によって症状や治療の方針が異なります。また、治療後も再発のリスクがあることを理解しておくことが大切です。

参照:がん情報サービスがん種別統計情報「急性骨髄性白血病」

  1. 急性白血病
    急性白血病は、未熟な血液細胞(芽球)が増えて正常な血球が減ることで症状が急速に現れます。治療開始までのスピードが重要です。

急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia)
・骨髄の白血球前駆細胞(まだ成熟していない白血球のもと)ががん化
・高齢者に多く発症
・早期診断と治療開始が重要
・化学療法や骨髄移植(造血幹細胞移植)が中心

急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoblastic Leukemia)
・骨髄のリンパ系細胞(リンパ球のもと)ががん化
・小児に多く、成人でも発症する
・小児は治療成績が良く成人も薬物治療でコントロール可能

その他の希少な急性白血病
・混合形態白血病(AMLとALLが混ざったタイプ)や骨髄異形成関連白血病など
・進行が早く、治療方針は個別に検討される

  1. 慢性白血病
    慢性白血病は進行がゆっくりで、初期には症状がほとんどありません。

慢性骨髄性白血病(CML:Chronic Myeloid Leukemia)
・成熟した白血球が徐々に増加
・中高年に多い
・無症状で健康診断で発見されることもある
・分子標的薬(特定のがん細胞だけを狙う薬)でコントロール可能

慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia)
・リンパ球(免疫に関わる血液細胞)が増加
・高齢者に多く、進行は緩やか
・感染症にかかりやすくなることがある
・薬物療法や経過観察で長期管理が可能

最近では、個別の病状に合わせた治療が行われるようになり、早期発見・適切な治療で治療成績も向上しています。白血病には多くの種類があり、治療方針は専門医が患者さん一人ひとりの状態に合わせて決めていきます。気になることや不安があるときは、遠慮なく主治医に相談することが大切です。

日本における白血病の罹患率と死亡率

白血病は、日本国内でも一定の割合を占める血液のがんです。年齢や種類によって発症の傾向が異なり、高齢者に多いタイプもあります。早期発見や適切な治療によって、生活の質や生存率が大きく変わることも知られています。

1.白血病全体の罹患数・死亡数・5年生存率
・罹患数:14,808人(全がんの約1.8%、男性8,500人・女性6,000人程度で男性にやや多い)
・死亡数:9,869人(全がん死亡の約2.3%)
・5年生存率:44.0%
※個別の種類ごとの正確な罹患数や死亡者数は統計的に少ないため、全体数のみ記載しています。

  1. 再発リスクと特徴(種類別の治療後の傾向)
急性骨髄性白血病(AML) 寛解後も再発の可能性あり。特に高齢者は注意 未熟な白血球(芽球)が急速に増加。早期診断・治療が重要
急性リンパ性白血病(ALL) 成人で再発リスクが高い 小児は治療成績良好。成人では再発時の治療が難しい場合も
慢性骨髄性白血病(CML) 治療中止後に再発の可能性あり 分子標的薬で慢性期を長期維持可能。日常生活への影響は少ない
慢性リンパ性白血病(CLL) 完全治癒は難しく、長期管理が必要 初期は無症状のことが多く、定期検診で偶然発見されるケースも多い

近年は、分子標的薬や造血幹細胞移植などの治療法の進歩により、生存率は改善傾向にあります。白血病は種類や年齢によって経過が大きく異なりますが、早期発見と適切な治療で、生活の質や予後を大きく変えることができます。

参照:がん情報サービスがん種別統計情報「白血病」

発症リスクと主な要因(喫煙・化学物質・遺伝など)

「どうして自分が白血病に…?」そう思われた方も多いかもしれません。白血病には、生活習慣や職業、遺伝、ウイルス感染など、さまざまな要因が関係していることが分かっています。はっきりとした原因が特定できないこともありますが、リスクを知ることは、今後の予防や再発防止につながります。

ここでは、白血病の発症に関わる主なリスク要因を、6つに分けてわかりやすくご紹介します。

  1. 喫煙
    ・特に急性骨髄性白血病(AML)の発症リスクを高めることが知られています。
    ・タバコに含まれる有害物質が骨髄に影響し、白血病の発症に関与する可能性があります。
  1. 化学物質への曝露
    ・ベンゼン:石油化学製品、塗料、接着剤などに含まれる有害物質で、長期間の職業曝露が発症リスクを高めます
    ・農薬や化学薬品:農業従事者や化学工業従事者など、長期にわたる曝露でリスク増加が報告されています。
  1. 放射線
    ・放射線への長期曝露は発症リスクを高めます。
    ・原子力施設での作業や放射線治療を受けた患者などが該当します。
  1. 遺伝的要因
    ・遺伝子変異:FLT3やNPM1が、AMLに関連しています。
    ・染色体異常:Philadelphia染色体を有するCMLも遺伝的要因が関与しています。
    ・家族歴:家族に白血病の患者がいると発症リスクがわずかに高まることがあります。これは遺伝的な体質や生活環境が影響すると考えられますが、白血病は必ず子どもに遺伝する病気ではありません
  1. ウイルス感染
    ・HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型):成人T細胞白血病(ATL)の原因。感染経路は母子感染、輸血、性的接触などです。
    ・EBV(エプスタイン・バーウイルス):リンパ系の細胞に感染し、リンパ腫や一部白血病に関与。唾液や血液を介して感染します。
  1. 免疫抑制状態
    ・免疫抑制剤を使用している患者や、免疫不全状態にある患者ではリスク増加。
    ・臓器移植後の免疫抑制療法を受けている患者は特に注意が必要です。

これらの要因は、白血病の発症に関与する可能性があるとされていますが、すべてが直接的な原因になるわけではありません。日頃の生活習慣に気をつけたり、定期的に健康診断を受けたりすることで、リスクを下げることが期待できます。

白血病の症状と早期発見の重要性

白血病の症状と早期発見の重要性

白血病は、初期には自覚症状が少ないことがあります「なんとなくだるい」「いつもより疲れやすい」と感じる程度の変化でも、早めに気づくことが大切です。

ここでは、白血病に見られる代表的な症状や、早期発見につながる検査の重要性について詳しく解説していきます。

  • 初期症状(だるさ・発熱・皮下出血など)
  • 進行した場合の症状(貧血・感染症・出血傾向の悪化など)
  • 定期検診の重要性(血液検査・骨髄検査・画像診断など)

一つ一つ解説していきます。

初期症状で気づくポイント(だるさ・出血・発熱など)

白血病の初期には、自覚症状が軽く気づきにくいことがあります。「なんとなくだるい」「疲れやすい」と感じる程度でも、血液や骨髄に異常が起きているサインかもしれません。

1.よく見られる症状
・だるさや疲労感:いつもより体が重い、休んでも疲れが取れない
・出血しやすい:歯茎の出血、皮下出血、鼻血など
・発熱や感染症:微熱が続く、風邪の症状が長引く

2.白血病のタイプ別の特徴
・急性白血病(AML・ALL):症状が比較的急速に進むため、だるさ・発熱・出血などが短期間で目立つことが多い
・慢性白血病(CML・CLL):初期は無症状のことが多く、健康診断で偶然発見されるケースもある。だるさや微熱などの症状が徐々に現れることもある。

これらの症状は風邪や貧血など他の病気でも見られることがあり、見逃されやすいのが現実です。しかし、普段と違うと感じたら、早めに血液内科やかかりつけ医を受診することが、早期発見・治療につながります。

進行した場合に現れる症状(貧血・感染症・出血傾向の悪化など)

白血病が進行すると、体への影響がより顕著になり、日常生活に支障を感じることがあります。

1.よく見られる症状
・貧血の症状:顔色が悪くなる、息切れや動悸が強くなる、疲労感が増す
・感染症にかかりやすくなる:発熱、喉の痛み、風邪の症状が長引く、肺炎など重症化しやすい
・出血傾向の悪化:あざや皮下出血が目立つ、鼻血や歯茎の出血が頻繁になる
・全身症状の悪化:だるさや疲労感が強く、休んでも改善しない、体重減少や食欲不振も見られることがある

2.白血病のタイプ別の特徴
・急性白血病(AML・ALL):症状が急速に進行するため、これらの症状が短期間で目立つことが多い
・慢性白血病(CML・CLL):進行は緩やかで、徐々に貧血や出血傾向が現れる

これらの症状は、白血病が骨髄や血液の中でさらに進行しているサインかもしれません。症状が出てから気づくと、治療がより複雑になることもあるため、いつもと違うと感じたら、ためらわずに早めに血液内科やかかりつけ医を受診しましょう

定期検診の重要性(血液検査・骨髄検査・画像診断など)

白血病は初期には自覚症状がほとんどなく、だるさや微熱などは風邪や貧血と見分けがつきにくいことがあります。そのため、症状だけで白血病を早期に見分けるのは難しく、見逃されることも少なくありません。だからこそ、定期的な検診で早期発見を目指すことが非常に重要です。

<早期発見のために行う検査>
・血液検査:白血球や赤血球、血小板の異常の有無を確認
・骨髄検査:骨髄の異常や白血病細胞の有無を評価
・画像診断:必要に応じてCTやMRIで臓器の腫れやリンパ節の異常をチェック

症状がない場合でも、特にリスクの高い方や定期健診の対象者は、定期的に検査を受けることが早期発見・治療につながります。気になる症状が少しでもあれば、我慢せずに血液内科やかかりつけ医を受診しましょう。

診断のための検査方法

診断のための検査方法

白血病は、初期には自覚症状が少なく、症状だけでは種類や進行度を正確に判断することが難しい病気です。そのため、血液検査や骨髄検査、画像診断などのさまざまな検査を組み合わせて、正確な病状の把握と治療方針の決定を行います。早期発見・適切な治療のためにも、必要な検査を受けることが大切です。

ここでは、白血病の主な検査方法や分類・進行度の評価について詳しく見ていきましょう。

  • 血液検査(血球数・異常細胞の有無)
  • 骨髄検査・染色体・遺伝子検査(白血病の型や再発リスクの確認)
  • その他の検査(画像診断・感染症チェックなど)
  • 白血病の分類・進行度(急性・慢性、染色体・遺伝子異常)

これらについて一つ一つ詳しく解説していきます。

血液検査(血球数・異常細胞の有無)

白血病の診断で最初に行われる基本的な検査のひとつが血液検査(採血)です。血液の状態を詳しく調べることで、白血病の疑いを確認したり、他の病気との区別をつけたりします。

  • 血球数の測定
    赤血球・白血球・血小板の数をチェックし、異常がないかを確認します。血球数の異常は、白血病の初期サインになることがあります。
  • 異常細胞の有無の確認
    血液中に白血病細胞(異常な白血球)が存在するかを調べます。異常細胞の数や割合は、白血病の種類や進行度の判断にも役立ちます。
  • 追加の血液検査
    必要に応じて、血液中の腫瘍マーカーや化学物質のレベルなども測定されることがあります。

血液検査は体への負担がほとんどなく、短時間で行えるため、白血病の早期発見や経過観察に欠かせない検査です。

骨髄検査(白血病の型・染色体・遺伝子情報の確認)

白血病の診断には、血液検査だけでなく骨髄の状態を調べることが欠かせません。ここでは、骨髄検査で分かることや検査の流れ、目的についてご紹介します。

1.骨髄検査で分かること
・白血病細胞の有無:骨髄中に異常な白血球があるかを確認
・白血病の型:急性か慢性か、細胞の特徴を把握
・染色体・遺伝子の異常:Philadelphia染色体やFLT3/NPM1変異など、治療方針や再発リスクの判断に役立つ

2.検査の流れと注意点
・通常は腰の骨(腸骨)から針を使って骨髄液を採取
局所麻酔を使って痛みを和らげながら行うため、大きな心配は不要
・採取は数分程度で終わり、検査後は軽い痛みや違和感が数日続くことがある
・外来で行う場合もあるが、入院中にまとめて行うこともある

3.検査の目的
・白血病の型や進行度を詳しく調べる
・再発リスクや治療方針を決めるための重要な情報を得る
・治療後の経過観察(寛解状態の確認)にも利用される

骨髄検査は不安に思う方も多いですが、体への負担は大きくなく、白血病を正確に診断し、適切な治療を進めるために欠かせない検査です。

その他の検査(画像診断・感染症チェックなど)

白血病の診断や経過観察では、血液検査や骨髄検査に加えて、全身の状態を調べる検査も行われます。これらは病気の広がりや合併症の有無を確認するために大切です。

1.画像診断
・CT・MRI・超音波検査を用いて、リンパ節や肝臓・脾臓の腫れを評価
・白血病細胞が他の臓器に広がっていないか、感染・出血の有無を確認する目的がある

2.感染症のチェック
・白血病では正常な白血球が減少し、感染症に罹患しやすい
・肺炎などの合併症や、B型肝炎・C型肝炎・HIVなど、免疫低下時に重症化する感染症の有無を確認する

3.心臓や肺の機能検査
・抗がん剤治療や造血幹細胞移植(骨髄移植)に耐えられるかを判断するために実施
・心電図や肺活量の測定が代表的な方法

これらの検査は直接「白血病そのもの」を診断するものではありませんが、治療を安全に進めるための全身チェックとして欠かせないものです。

まとめ|正しい理解と早期発見が安心につながる

まとめ|正しい理解と早期発見が安心につながる

白血病は「血液のがん」と呼ばれ、初期の段階では風邪や疲れと似た症状が出るため、気づかれにくい病気です。だからこそ、症状の特徴や検査の流れを知っておくことが、早期発見と治療につながります。

診断には血液検査や骨髄検査が用いられ、必要に応じて画像検査なども行われます。現在では遺伝子レベルで病型を調べ、治療法を選ぶことも可能になってきました。医療の進歩により、治療の選択肢は広がっています。

「だるさが続く」「出血しやすい」「熱が下がらない」など、少しでも気になる症状があれば、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。早い段階で正確な診断を受けることで、治療の選択肢も広がり、前向きに治療へ進むことができます

本記事が、白血病に関する正しい理解を深め、症状に気づいたときや検査を受ける際の安心につながれば幸いです。

※本記事は医療専門ライターによる寄稿であり、診療行為・医師の個別見解を示すものではありません。治療に関するご不安は、必ず主治医にご相談ください。

 

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