前立腺がんを正しく知る:症状・原因・検査・治療・予防までやさしく解説
前立腺がんは、日本人男性のがんの中で最も多いとされるがんの一つです。特に高齢になるほど発症リスクが高まり、60代以降の男性に多く見られます。一方で、初期には症状が現れにくいため、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
前立腺がんと診断されたとき、多くの方が「手術が必要なのか?」「仕事や生活はどう変わるのか?」といった不安を抱えます。また、ご家族や身近な方にとっても、正しい知識を持ってサポートすることがとても大切です。
本記事では、前立腺がんの基礎知識から原因・症状・検査・治療法・予防策までをわかりやすく解説し、患者さんやご家族が“今できること”を見つけられるようサポートしていきます。
前立腺がんを正しく理解しながら、自分らしく前向きに向き合うためのヒントを一緒に探していきましょう。
目次
はじめに:前立腺がんとは?

はじめに:前立腺がんとは?
前立腺がんは、男性特有の臓器である前立腺に発生する悪性腫瘍です。前立腺は膀胱のすぐ下にあり、精液の一部をつくる役割を担っています。このがんは、ゆっくりと進行するタイプが多い一方で、発見が遅れると骨などへ転移しやすいという特徴があります。
ここでは、まず前立腺がんの発生部位や種類、そして日本における罹患率・死亡率の現状について見ていきましょう。
- 前立腺がんの基本情報(発生部位・種類)
- 日本における前立腺がんの罹患率と死亡率
一つ一つ見ていきましょう。
前立腺がんの基本情報(発生部位・種類)
前立腺がんは、男性の骨盤内にある前立腺の細胞ががん化することで発生します。発生する部位やがんの性質によって、進行のスピードや治療法が異なります。
1.前立腺がんの発生部位による分類
前立腺がんは、発生する場所や組織の違いによって以下のように分類されます。
- 腺がん(前立腺腺がん)
- 前立腺がんの約95%以上を占める、最も一般的なタイプ
- 前立腺の「腺房(せんぼう)」と呼ばれる部分に発生
- 比較的ゆっくりと進行するがんで、早期発見しやすい傾向がある
- 小細胞がん・神経内分泌がん
- よりまれで進行が早いタイプ
- 神経内分泌細胞に由来し、早期に転移することが多い
- 治療には化学療法が中心となることが多い
- その他の特殊型前立腺がん
- 移行上皮がん:膀胱に近い部位から発生しやすい
- 粘液性がん・印環細胞がんなど、まれなタイプも存在
- 稀少であるため、専門的な診断と治療が求められる

2.前立腺がんのホルモン受容体による分類
前立腺がんは、男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を強く受けるがんであり、ホルモン感受性の有無によって治療方針が大きく異なります。
- アンドロゲン感受性前立腺がん
- テストステロンなどの男性ホルモンの影響で進行するがん
- アンドロゲン遮断療法(ホルモン療法)が高い効果を示す
- 多くの前立腺がんはこのタイプに該当し、進行も比較的ゆるやか
- アンドロゲン非感受性前立腺がん(去勢抵抗性がん)
- ホルモン療法の効果が薄れてきた状態の前立腺がん
- 去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)とも呼ばれ、治療の難易度が上がる
- 化学療法や分子標的薬、放射線治療の併用が検討される
乳がんの「HER2陽性」や「トリプルネガティブ」といった分類に類似するものは、前立腺がんには現時点で明確に存在しませんが、がんのホルモン依存性は非常に重要な分類軸です。
前立腺がんの種類によって治療法が異なるため、診断時には詳細な検査を行い、適切な治療を選択することが重要です。
日本における前立腺がんの罹患率と死亡率
前立腺がんは、日本国内で最も多いがんの一つであり、年々増加傾向にあります。
1.日本の前立腺がん罹患率(新たに診断される人の数)
・日本では年間約9万人以上が前立腺がんと診断されている
・40代から増加し、50代・60代でピークを迎える
・日本人男性の9人に1人が生涯で前立腺がんを発症するといわれている
前立腺がんの発症リスクは加齢とともに上昇しますが、まれに30代や20代で発症するケースもあり、年齢に関わらず注意が必要です。
2.日本の前立腺がん死亡率
・前立腺がんによる死亡者数は年間約1.3万人
・高齢男性に多くみられる
・早期発見すれば5年生存率は90%以上だが、進行がんでは低下する
前立腺がんは、早期発見できれば治療の選択肢が多く、完治の可能性も高いがんです。そのため、定期的な検診を受けることが生存率を高める重要なポイントとなります。

前立腺がんの原因とリスク要因

前立腺がんの原因とリスク要因
前立腺がんの発症には、ホルモンの影響、遺伝的な背景、生活習慣など、さまざまな要因が関わっていると考えられています。
ここでは、前立腺がんの発症リスクを高める主な要因について詳しく見ていきましょう。
- 男性ホルモンと前立腺がん(テストステロンの関与)
- 遺伝的要因と家族歴(HPC、BRCA遺伝子との関連)
- 生活習慣と環境要因(食事・肥満・運動・喫煙)
それぞれ解説していきます。
男性ホルモンと前立腺がん(テストステロンの関与)
前立腺は、テストステロンに代表される男性ホルモンの影響を強く受ける臓器です。がん化も、このホルモンとの関係が深いとされています。
1.テストステロンと前立腺細胞の関係
・テストステロンは、前立腺の正常な働きを保つうえで不可欠なホルモンです。
・しかし、テストステロンの作用によって、前立腺の細胞が過剰に増殖しやすくなり、がん化につながる可能性があるといわれています。
・実際に、ホルモン療法(アンドロゲン抑制療法)が前立腺がんの治療に有効であることからも、男性ホルモンが前立腺がんの増殖に関与していることがわかります。
2.加齢によるホルモン環境の変化
・年齢を重ねるにつれてテストステロンの分泌量は徐々に低下しますが、そのバランスの乱れが前立腺の細胞に影響を与えるとする見方もあります。
・加齢とともに前立腺がんの罹患率が高まるのは、こうしたホルモン環境の変化も一因と考えられています。
遺伝的要因と家族歴(HPC、BRCA遺伝子との関連)
前立腺がんには、遺伝的な体質が関係しているケースもあります。特に、家族に前立腺がんを経験した人がいる場合、そのリスクは明確に高まるとされています。
1.家族歴によるリスク上昇
・父親や兄弟が前立腺がんと診断されている場合、発症リスクは約2~3倍に上昇すると言われています。
・家族性前立腺がん(HPC:HereditaryProstateCancer)と呼ばれるタイプでは、若年での発症や多発傾向が見られます。
2.BRCA遺伝子との関連
・近年、乳がんや卵巣がんとの関連で知られるBRCA1・BRCA2遺伝子の変異が、前立腺がんにも関与していることが報告されています。
・特にBRCA2の変異を持つ男性では、悪性度の高い前立腺がんが若年で発症するリスクがあることがわかってきました。
・欧米では、BRCA遺伝子変異のある男性に対して、定期的なPSA検査や早期の精密検査の実施が推奨されることもあります。
3.遺伝リスクに備えるには
・ご家族に前立腺がんの既往がある方や、若年でのがん発症例がある場合は、泌尿器科や遺伝カウンセリングの活用も検討してみましょう。
・早期のリスク把握が、より安全な経過観察や予防的な対策につながります。
生活習慣と環境要因(食事・肥満・運動・喫煙)
前立腺がんの発症には、日々の生活習慣や環境の影響も少なからず関係していると考えられています。
1.食事と前立腺がんの関係
・動物性脂肪の摂取が多い食生活は、前立腺がんのリスクを高める可能性があるとされています。特に赤身肉や加工肉の過剰摂取には注意が必要です。
・一方で、トマトに含まれるリコピンや、大豆に含まれるイソフラボンなどは、抗酸化作用やホルモンバランスへの働きかけにより、前立腺がんの予防に効果がある可能性があるといわれています。
・野菜や果物を積極的に摂ることも、健康な前立腺の維持に役立ちます。
2.肥満と前立腺がん
・肥満は、ホルモンバランスの乱れや慢性的な炎症を引き起こしやすく、前立腺がんの発症や進行に影響を与えると考えられています。
・特に内臓脂肪が多い方は、高リスク型(悪性度の高い)前立腺がんのリスクが上がるという報告もあります。
・体重の管理は、健康全体の観点からも重要な要素です。
3.運動習慣の有無
・定期的な運動は、前立腺がんの予防や再発リスクの低下に役立つ可能性があるといわれています。
・ウォーキングや軽いジョギングなど、週に150分程度の中等度の運動が推奨されています。
・運動によって免疫機能が高まり、体内の炎症が抑えられることも、がん予防につながる要因です。
4.喫煙との関係
・喫煙が前立腺がんの発症リスクを直接高めるかどうかについては議論がありますが、重症化や死亡率の上昇に関連しているとする研究もあります。
・特に進行がんにおいては、喫煙歴のある方が治療成績が悪くなる傾向があることが報告されています。
・禁煙は、がん予防全体の観点からも大きな意義があります。
前立腺がんの症状と早期発見の重要性

前立腺がんの症状と早期発見の重要性
前立腺がんは、初期の段階ではほとんど症状が現れないことが多く、自覚がないまま進行してしまうケースも少なくありません。しかし、ある程度がんが進行すると、排尿や下腹部の違和感、骨の痛みなど、日常生活に支障をきたすような症状が出てくるようになります。
ここでは、前立腺がんにみられる代表的な症状と、早期発見につながる検査について解説します。
- 前立腺がんの初期症状(頻尿・排尿困難・尿の勢いの低下)
- 進行した場合の症状(血尿・骨への転移・下腹部の痛み)
- 定期検診の重要性(PSA検査・直腸診・MRI)
一つ一つ解説していきます。
前立腺がんの初期症状(頻尿・排尿困難・尿の勢いの低下)
前立腺がんの初期には、前立腺が肥大することによる尿の通り道(尿道)の圧迫が原因で、排尿に関する症状が現れることがあります。
具体的には、以下のような変化が見られる場合があります。
- 頻尿(とくに夜間に何度もトイレに行くようになる)
- 排尿困難(尿が出にくい、時間がかかる)
- 尿の勢いが弱くなる
- 排尿後も残尿感がある
これらの症状は前立腺肥大症とも似ているため、加齢によるものと思い込み、がんの可能性を見逃してしまうこともあります。異変に気づいたときには、早めに泌尿器科を受診することが大切です。
進行した場合の症状(血尿・骨への転移・下腹部の痛み)
前立腺がんが進行すると、より深刻な症状が現れるようになります。がんが前立腺の外に広がったり、他の臓器に転移したりすることで、以下のような兆候が出てくることがあります。
- 血尿(尿に血が混じる)
- 骨への転移による痛み(腰・背中・股関節などが痛む)
- 下腹部の鈍痛や違和感
- 体重減少・食欲不振・全身のだるさなど、がんによる全身症状
特に前立腺がんは骨への転移が起こりやすいため、腰や背中の痛みが長期間続く場合には注意が必要です。進行する前に発見することが、生存率や治療の選択肢を大きく左右します。
定期検診の重要性(PSA検査・直腸診・MRI)
前立腺がんは、早期の段階では症状が乏しいがんだからこそ、定期的な検査での早期発見が非常に重要です。以下の検査を定期的に受けることで、無症状のうちに発見できる可能性が高まります。
1.PSA検査(前立腺特異抗原の血液検査)
・血液中のPSA(前立腺特異抗原)の値を測定する検査
・前立腺がんのスクリーニング(ふるい分け)検査として最も広く用いられている
・PSA値が高い=すぐにがん、というわけではありませんが、異常値が出た場合は精密検査が必要になります。
2.直腸診(DRE)
・医師が指を使って肛門から前立腺に触れ、腫れや硬さなどの異常を確認する簡便な検査
・数十秒程度で終わり、痛みも軽度なことが多い
3.MRI検査(磁気共鳴画像診断)
・精密検査として、前立腺の状態を詳しく調べるために行われる
・がんの位置・広がり・悪性度の予測にも役立つ
・PSA検査と組み合わせて実施されることが増えています
前立腺がんの診断と検査方法

前立腺がんの診断と検査方法
PSA検査などの定期検診で前立腺がんの疑いが見つかった場合、がんかどうかを確定するための検査や、がんの進行度を評価する検査が行われます。
これらの検査は、がんの有無だけでなく、広がりや悪性度を知るうえでも重要であり、治療方針を決めるための大切な判断材料となります。
ここでは、前立腺がんの診断に用いられる主な検査方法について解説します。
- 画像診断(MRI・CT・超音波検査)
- 針生検による組織診断
- ステージ分類と進行度の評価(TNM分類・グリーソンスコア)
上から解説していきます。
画像診断(MRI・CT・超音波検査)
画像診断は、前立腺の内部構造やがんの広がりを確認するための検査です。症状がなくても、PSA値が高かった場合などに行われます。
MRI(磁気共鳴画像診断)
・前立腺の構造を詳細に可視化できる検査
・がんの位置や大きさ、前立腺の外に広がっているかどうかを評価できる
・特にマルチパラメトリックMRI(mpMRI)は、がんの疑わしい部位を特定しやすく、針生検の精度向上にも貢献
CT(コンピュータ断層撮影)
・がんが他の臓器やリンパ節へ転移していないかを調べる際に有効
・進行がんと診断された場合、治療前に全身の評価目的で使用されることがある
超音波検査(経直腸エコー)
・肛門から専用のプローブを挿入して、前立腺の形や大きさを確認
・生検の際に針の位置をガイドする目的でも用いられる
針生検による組織診断
画像検査だけでは「がんかどうか」は断定できません。最終的な確定診断には、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる「針生検」が必要です。
前立腺針生検とは?
・局所麻酔下で、細い針を使って前立腺から複数の組織サンプルを採取
・経直腸的または経会陰的(肛門または会陰から)に行われる
・通常10〜20か所程度を採取し、がん細胞の有無や性質を調べる
組織診断でわかること
・がんの有無
・がん細胞の悪性度(グリーソンスコア)
・どの部分にがんが多いか
針生検は1日で終わる外来検査であり、その後の治療方針を決める上で非常に重要なプロセスです。
ステージ分類と進行度の評価(TNM分類・グリーソンスコア)
前立腺がんの治療方針は、がんの広がり(ステージ)と悪性度(グレード)によって大きく変わります。診断後は、以下の指標をもとに進行度を総合的に評価します。
TNM分類(がんの広がり)
・T(腫瘍):がんが前立腺の中にとどまっているか、外に広がっているか
・N(リンパ節):骨盤周囲のリンパ節への転移の有無
・M(遠隔転移):骨・肺・肝臓などへの転移があるかどうか
この分類はCTやMRI、骨シンチグラフィーなどの画像検査をもとに評価されます。
グリーソンスコア(悪性度の指標)
・針生検で採取したがん組織の構造異常の程度をスコア化
・スコアは2〜10点の範囲で、高いほどがん細胞の異常度が強く、進行しやすい傾向
○例:6点以下→低リスク、7点→中間リスク、8〜10点→高リスク
・治療選択において非常に重要な情報源となる
前立腺がんの治療方法

前立腺がんの治療方法
前立腺がんの治療は、がんの進行度(ステージ)や悪性度、患者さんの年齢・体力・ライフスタイルなどによって、大きく方針が異なります。進行の遅いがんでは“あえて治療をしない”という選択肢もあれば、進行がんでは複数の治療を組み合わせる必要もあります。
ここでは、前立腺がんの治療方法について、進行度に応じたアプローチと、近年注目されている最新の治療法をご紹介します。
- 早期がんの治療(手術療法・放射線治療・ホルモン療法)
- 進行がんの治療(化学療法・ホルモン療法の強化)
- 最新の治療法(免疫療法・陽子線治療など)
それぞれ解説していきます。
早期がんの治療(手術療法・放射線治療・ホルモン療法)
早期の前立腺がんでは、がんが前立腺内にとどまっており、他の臓器に転移していない状態であることが多く、根治を目指した治療が可能です。
1.手術療法(前立腺全摘除術)
・前立腺と精嚢(せいのう)を一括して切除する根治的手術
・お腹を切る「開腹手術」や、小さな穴を開ける「腹腔鏡手術」「ロボット支援手術(ダヴィンチ)」などがある
・比較的若く、全身状態が良好な患者さんに適応されやすい
※手術後には、一時的に尿漏れや勃起障害が出ることがありますが、リハビリや時間の経過とともに改善するケースもあります。
2.放射線治療
・前立腺に外部から放射線を照射する「外部照射法」と、前立腺内に線源を埋め込む「小線源療法」がある
・手術に比べて身体への負担が少なく、高齢者にも選ばれやすい
・治療期間は数週間にわたることが多いが、日常生活と両立しながら行えることも利点
3.ホルモン療法(アンドロゲン抑制療法)
・男性ホルモン(テストステロン)の分泌を抑えることで、がんの増殖を抑制する
・手術や放射線治療の補助療法として併用されることが多い
・主に注射薬(LH-RHアゴニスト)や内服薬(抗アンドロゲン薬)を使用
進行がんの治療(化学療法・ホルモン療法の強化)
がんが前立腺の外に広がっていたり、骨やリンパ節への転移がある場合は、根治的な治療は難しくなりますが、進行を抑え、症状を和らげるための治療が行われます。
1.ホルモン療法の強化(去勢抵抗性への対応)
・ホルモン療法を続けていてもがんが進行してしまう「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」に対しては、新しいタイプのホルモン薬(アビラテロン・エンザルタミドなど)を使用
・がん細胞のホルモンへの反応性をさらに抑えることを目的としています
2.化学療法(抗がん剤治療)
・主にドセタキセルやカバジタキセルといったタキサン系薬剤が用いられます
・骨転移の痛みを軽減し、がんの進行スピードを抑えることが目的
・抗がん剤は副作用が出ることもありますが、近年は支持療法の進歩により継続しやすくなってきています
最新の治療法(免疫療法・陽子線治療など)
近年では、前立腺がんに対しても先端技術を活用した新しい治療法が選択肢に加わるようになってきました。
1.免疫療法(がん免疫チェックポイント阻害薬など)
・免疫の働きを高めてがん細胞を攻撃する治療
・一部の進行がんや遺伝子変異(MSI-Hなど)を持つ患者に適応されるケースがある
・まだ限られた患者にしか効果がないものの、今後の進化が期待されています
2.陽子線治療・重粒子線治療
・正確にがん組織だけを狙って照射できる先端の放射線治療
・周囲の正常な組織へのダメージを抑えつつ、高い線量でがんを攻撃できる
・日本国内では一部の医療機関で実施されており、保険適用の対象となるケースも増えてきました
前立腺がんの予防と再発防止

前立腺がんの予防と再発防止
前立腺がんは、早期に発見し、適切な治療を受けることで十分にコントロールできるがんです。とはいえ、治療が終わった後も安心せず、再発を防ぐための生活習慣の見直しや、定期的な検査の継続がとても大切です。
また、まだ発症していない方にとっても、日頃からの心がけや家族歴の確認が、前立腺がんの早期発見や予防につながることがあります。
この章では、前立腺がんの予防や再発防止に役立つ習慣や取り組みについて解説します。
- 定期検診とPSAチェックの習慣化
- 生活習慣の見直し(食事・運動・肥満防止)
- 遺伝的リスクがある人のための対策(定期検査・遺伝カウンセリング)
それぞれ解説していきます。
定期検診とPSAチェックの習慣化
前立腺がんは、症状が出る前に検診で発見されることが多いがんです。そのため、何よりも「定期的なチェック」が予防と早期発見の要になります。
PSA検査を年に1回の習慣に
・PSA(前立腺特異抗原)検査は、前立腺がんのスクリーニングに非常に有効な血液検査です。
・数値が高ければ必ずがん、というわけではありませんが、変化を継続的に見ることが重要です。
・50歳を過ぎたら、年に1回の検査を習慣化することが推奨されています。
・家族歴がある人や、生活習慣が乱れがちな方は、40代からの検査開始を検討してもよいでしょう。
定期的なPSAチェックは、「何も症状がない」今だからこそ、始めておきたい習慣のひとつです。
生活習慣の見直し(食事・運動・肥満防止)
前立腺がんのリスクには、日々の生活習慣が深く関わっているとされており、再発防止の観点でも非常に重要です。
食生活の改善
・動物性脂肪(赤身肉・加工肉)を控えめにし、植物性食品や魚中心のバランスのよい食事が推奨されます。
・トマト(リコピン)や大豆製品(イソフラボン)には、前立腺がん予防への可能性があるといわれています。
運動の習慣化
・週に150分以上の中等度の有酸素運動(ウォーキング・自転車など)が効果的とされています。
・運動は体重管理・ホルモンバランスの安定・免疫力向上にもつながり、がん予防の土台になります。
肥満の予防と管理
・内臓脂肪型肥満(いわゆるメタボ体型)は、再発リスクや進行がんの発症リスクを高める可能性が示唆されています。
・BMIや腹囲を定期的にチェックし、無理なく続けられる健康管理を心がけましょう。
遺伝的リスクがある人のための対策(定期検査・遺伝カウンセリング)
家族に前立腺がんの既往がある場合、ご自身も発症リスクが高い可能性があります。また、近年では遺伝子変異(とくにBRCA2など)との関連性も注目されています。
家族歴のある方は早めのチェックを
・父親や兄弟が前立腺がんを経験している場合、発症リスクは2~3倍に上がるといわれています。
・こうした場合は、一般的な推奨年齢よりも早く、PSA検査を開始することが望ましいです。
遺伝カウンセリング・遺伝子検査の活用
・遺伝性前立腺がんが疑われる場合、専門機関での遺伝カウンセリングを受けることで、リスク管理の方法を知ることができます。
・希望すれば、BRCA1/2などの遺伝子検査を行い、将来的な予防策や監視体制について相談することも可能です。
遺伝的な背景がある方は、「早く知って、早く備える」ことが安心につながります。
まとめ:前立腺がんを正しく知り、自分らしく生きるために

まとめ:前立腺がんを正しく知り、自分らしく生きるために
前立腺がんは、日本の男性にとって非常に身近ながんです。年齢を重ねるにつれてリスクが高まり、誰もが向き合う可能性のある病気といえます。
しかし、その一方で――
・早期に見つけることができれば、治療の選択肢は広く
・進行がんであっても、コントロールしながら生活を続けられる
・治療後も、自分らしい日常を取り戻せる
そうした特徴を持つがんでもあります。
本記事では、前立腺がんの基本情報から、原因・症状・検査・治療・予防策までを幅広くお伝えしてきました。最後に、前向きに歩むための大切なポイントを振り返ってみましょう。
1.気づきにくいがんだからこそ、「定期検診」が一番の備え
前立腺がんは初期症状が乏しいため、「今は何も困っていないから大丈夫」と思っていても、気づかぬうちに進行してしまうことがあります。PSA検査は簡単な血液検査で、年に一度の受診だけでもリスクに備えられます。
とくに50歳以上の方や、家族に前立腺がんの既往がある方は、ぜひ検査の習慣化をおすすめします。
2.治療の選択肢は豊富。自分に合った方法を一緒に選んでいく
前立腺がんには、手術・放射線・ホルモン療法などさまざまな治療方法があります。“どれが正解”ではなく、“あなたにとってのベスト”を見つけることが大切です。
不安があるときは、主治医に相談したり、セカンドオピニオンを活用したりして、納得のいく選択をしてください。
3.生活習慣の改善は、再発防止にも新たな予防にもつながる
食生活の見直しや適度な運動、肥満の予防、禁煙・節酒といった取り組みは、がんの再発を防ぐだけでなく、心身ともに健康でいられる毎日をサポートしてくれます。
無理なく、自分にできる範囲から少しずつ始めていきましょう。
4.「病気と向き合う」ことは、自分を大切にすることでもある
前立腺がんと向き合うことは、決して楽なことではありません。でも、正しい知識を持ち、必要なサポートを受けながら進んでいくことで、不安は少しずつ和らぎ、自分らしい日常を取り戻す力になります。
「がんを経験したからこそ気づけたことがある」と語る方も少なくありません。どんな状況でも、自分らしい選択を重ねていくことが、最も大切な一歩です。
あなた自身のために、そして大切な人のために。これからも、自分らしい未来を描いていけますように。
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