「もしかして…」と思ったら|子宮がんの症状と検査・治療をわかりやすく解説

女性特有のがんの中でも、「子宮がん」は特に注意が必要ながんのひとつです。一口に子宮がんと言っても、子宮の入り口にできる子宮頸がんと、子宮内部に発生する子宮体がん(子宮内膜がん)では、原因や年齢層、治療法などが大きく異なります。

近年、子宮頸がんは若い女性の間で増加傾向がみられ、HPVワクチンや定期検診の重要性が広く知られるようになってきました。一方、子宮体がんは中高年層の女性に多く、生活習慣との関わりが深いことが指摘されています。

この記事では、子宮頸がんと子宮体がんの違いを整理しながら、それぞれの罹患率・死亡率・原因・症状・検査・治療法・予防策について、わかりやすく解説していきます。

女性の健康と命を守るために、「正しく知ること」から始めてみませんか?

目次

はじめに:子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)とは?

 

子宮がんは、日本人女性にとって比較的身近ながんのひとつです。発症部位の違いによって「子宮頸がん」と「子宮体がん(子宮内膜がん)」に大別され、それぞれに異なる特徴があります。

ここではまず、子宮がんの基本的な情報と、日本国内における最新の統計データを見ながら、その全体像を把握していきましょう。

  • 子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の基本情報(発生部位・種類)
  • 日本における子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の罹患率と死亡率

一つ一つ解説します。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の基本情報(発生部位・種類)

1.子宮の構造とがんの発生部位
子宮は、妊娠・出産に関わる重要な臓器で、下腹部中央に位置し、主に以下の3つの部位から構成されています:
子宮頸部(けいぶ):膣と子宮本体をつなぐ部分。子宮頸がんはここに発生します。
・子宮体部(たいぶ):子宮の上部を占める大部分。子宮体がんは主にこの部分の内膜に発生します。
・子宮内膜:月経の際に剥がれ落ちる組織。体がんはこの内膜からの発生がほとんどです。
子宮がんは、がんの発生部位によって症状・進行の仕方・治療方法が異なるため、正確な診断がとても重要です。

2.主な子宮がんの種類
子宮がんは、組織型により以下のように分類されます:
・子宮頸がん
 ○扁平上皮がん(最も多い)
 ○腺がん

・子宮体がん(内膜がん)
 ○類内膜腺がん(大多数)
 ○漿液性腺がん
 ○明細胞腺がん、粘液性腺がんなど
それぞれのがんにおいて、悪性度や進行の速さ、治療方針が異なるため、病理診断での分類は治療の鍵を握る重要なプロセスです。

参照:社会医療法人 友愛会「知ってほしい 未来のための子宮頸がん予防」

日本における子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の罹患率と死亡率

子宮がんは、日本の女性において比較的多く診断されるがんの一つです。特に子宮体がんの診断数は年々増加傾向にありますが、両者ともに早期発見・治療が行われれば予後は良好です。

1.日本の子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)罹患率(新たに診断される人の数)
・最新の統計(2021年)によると、年間およそ3万人の女性が新たに子宮がんと診断されています。
・内訳は、子宮頸がんが10,690人、子宮体がんが19,071人です。
・人口あたりの罹患率は、頸がん16.6人/10万人、体がん29.6人/10万人です。

以前は子宮頸がんは50代以上の女性に多いがんとされていましたが、近年では20〜40代の若年層での罹患も増加しており、働く女性や出産を控えた年代でも注意が必要とされています。

子宮体がんは依然として40代後半〜60代の中高年女性に多く見られ、生活習慣やホルモンバランスとの関係が指摘されています。

参照:がん情報サービスがん種別統計情報「子宮頚部」
   がん情報サービスがん種別統計情報「子宮体部」

2.死亡率
・2023年の統計によると、子宮頸がんによる死亡数は2,949人、子宮体がんは2,862人です。
・年齢調整死亡率は、それぞれ4.7人/10万人(頸がん)、4.6人/10万人(体がん)です。
・子宮がん全体の死亡数は約5,800人で、がん全体の中では中位〜下位に位置します。

いずれのがんも、早期に発見されれば治療によって高い生存率が見込まれるため、定期検診の受診が重要です。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の原因とリスク要因

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の原因とリスク要因

子宮がんは、その種類によって原因やリスク因子が異なります。

ここでは、日常生活や体質、家族歴などが、子宮頸がん・子宮体がんの発症にどのように影響するかを整理ます。

  • 生活習慣と環境要因(性交経験・肥満・ホルモンなど)
  • 遺伝的要因と家族歴
  • 良性疾患(子宮筋腫・内膜症など)との関係

それぞれ解説していきます。

生活習慣と環境要因(性交経験・肥満・ホルモンなど)

子宮がんの発症には、日々の生活習慣や体内のホルモン環境が大きく関係しています。
・子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が主な原因とされています。特に、性交渉の経験年齢が早い・複数のパートナーとの経験があるなどの場合、感染リスクが高まるとされています。
・子宮体がんは、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病と深く関係しており、体内の代謝バランスが影響を及ぼします。
・また、エストロゲンが長期間単独で作用する状態(未経産、閉経後肥満、排卵異常など)は、子宮内膜の過剰な増殖を招き、子宮体がんの発症リスクを高めるとされています。

遺伝的要因と家族歴

一部の子宮がんは、遺伝的な体質や家族の病歴と関わりがあるとされています。
・子宮がんは多くが後天的要因で発症しますが、一部には遺伝的素因が関与しているケースもあります。
・特に子宮体がんは、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)との関連が確認されており、この疾患をもつ家系では、若年での発症が多く見られる傾向があります。
・家族に子宮がんや大腸がんの患者が複数いる場合は、遺伝カウンセリングの受診が推奨されています。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の症状と早期発見の重要性

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の症状と早期発見の重要性

子宮がんは初期段階では症状が出にくいため、自覚症状が起こる前に定期的な検診や注意深い観察が非常に重要です。

ここでは、初期と進行時の症状、そして定期検診の必要性について解説します。

  • 子宮頸がん・子宮体がんの初期症状(不正出血・おりものの異常など)
  • 進行した場合の症状(骨盤痛・排尿・排便異常など)
  • 定期検診の重要性(HPV検査・細胞診・経腟エコー)

一つ一つ紹介していきます。

子宮頸がん・子宮体がんの初期症状(不正出血・おりものの異常など)

子宮頸がん・子宮体がんともに、最初のシグナルは出血やおりものの変化で表れることが多いです。
・子宮頸がん
○月経以外の不正出血や性交時の出血
臭いや濃い色のおりもの、粘液状のおりものなどの変化

・子宮体がん(内膜がん)
月経ではない時期や閉経後の出血
おりものに血液が混ざる・褐色がかる
これらは早期の兆候として重要で、日常的な変化を見逃さずに婦人科を受診することが肝要です。

進行した場合の症状(骨盤痛・排尿・排便異常など)

がんが進展すると、お腹や骨盤への圧迫や周辺臓器への影響により、以下のような重い症状が現れることがあります:
・骨盤部、下腹部、腰部の痛み
・尿や便に血が混じるなどの排尿・排便障害
・下肢のむくみやしびれ(リンパ節への転移などによる)
これらの症状が現れた場合は、がんが進行している可能性があり、即時の受診が必要です。

定期検診の重要性(HPV検査・細胞診・経腟エコー)

子宮がんは自覚症状が出る前に検診で発見することが可能です。以下の検査が推奨されています:
・HPV検査・細胞診(子宮頸がん予防)
○子宮頸部表面の細胞を採取し、異常やウイルス感染の有無を調べます

・経腟超音波検査(エコー)(子宮体がん疑い時などに)
○子宮内膜や腔内を内側から観察し、厚みや異常がないか確認します

・早期発見が全ての鍵
○多くの前がん病変や未進行がんは、症状が出る前に検診で発見されます
不安がある場合は、症状が出なくても婦人科を訪れることが推奨されます

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の診断と検査方法

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の診断と検査方法

症状などのサインが出た場合や、定期検診で疑いが出たとき、次に重要なのが「精密検査」です。

ここでは、画像診断・細胞・組織診断・ステージ分類について解説します。

  • 画像診断(経腟超音波・MRI・CTなど)
  • 細胞診・組織診による診断
  • ステージ分類と進行度の評価(FIGO分類・UICC分類)

上から解説していきます。

画像診断(経腟超音波・MRI・CTなど)

がんの形状や広がりを視覚的に捉えるために使われる検査です。
・経腟超音波検査:器具を腟に挿入し、子宮や内膜の厚み、腫瘍の有無を詳細に確認できます。子宮体がんの初期発見に非常に有効です。
・CT検査・MRI検査(主に子宮頸がん):がんの広がり、リンパ節転移や他臓器への転移の有無を調べる際に利用されます。とくにMRIは軟部の評価に優れ、CTは骨盤内外両方の構造をチェックするのに適しています。

細胞診・組織診による診断

がんの存在とタイプを確定させるための検査です。
・細胞診:子宮頸部表面から細胞を採取し、顕微鏡で異常を調べます。細胞レベルでの前がん病変や早期癌の検出に有効です。
・組織診:疑わしい部位から組織片を採取し、病理診断を行います。子宮体がんの最終診断では子宮鏡検査+組織診の組み合わせが用いられます。

ステージ分類と進行度の評価(FIGO分類・UICC分類)

がんの広がりを「どこまで進行しているか」で評価し、治療方針を決定する目安となります。
・FIGO分類(婦人科領域で主に使用)およびUICC TNM分類:子宮頸がん・体がんともに全国の診療連携拠点病院で記録され、治療の基盤となります。
・T(腫瘍の大きさ・浸潤範囲)、N(リンパ節転移の有無)、M(遠隔転移)を組み合わせ、ステージⅠ〜Ⅳに分類します。
・この分類により、円錐切除・単純子宮全摘や広汎子宮全摘などの手術方針や、放射線・薬物療法の適否を判断します。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の治療方法

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の治療方法

がんと診断されると、病期や進行度に応じた治療が行われます。

ここでは、早期がん・進行がん・最新治療の3つの段階で、それぞれの治療法を詳しく解説します。

  • 早期がんの治療(円錐切除・単純/広汎子宮全摘)
  • 進行がんの治療(放射線療法・化学療法・ホルモン療法)
  • 最新の治療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など)

それぞれ紹介していきます。

早期がんの治療(円錐切除・単純/広汎子宮全摘)

早期診断された子宮がんでは、体への負担を抑えた手術が中心です。
・子宮頸がんに対する円錐切除術は、頸部の一部を円錐状に切除し、妊孕性を温存しながら病変除去を目指します。
・やや進行がある場合は、子宮全体を摘出する単純子宮全摘または、周囲組織やリンパ節も含めて広範囲に摘出する広汎子宮全摘が行われます。

進行がんの治療(放射線療法・化学療法・ホルモン療法)

進行期や再発時には、手術後の補完治療や主たる治療として以下が用いられます。
・放射線療法:子宮頸がんを中心に、外部照射や腔内照射、さらには化学療法との併用が行われます。
・化学療法:主としてシスプラチン系やタキサン系などが使用され、手術後の再発予防や進行がんへの対応で有効です。
・ホルモン療法:主に子宮体がんで使用され、卵巣・子宮を温存しながらホルモン療法でがんの生長抑制を図ります。

最新の治療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など)

再発や進行期がんに対しては、従来の治療に加えて最新の分子レベル治療が研究・応用されています。
・分子標的薬:特定のがん関連分子を標的として作用し、がんの増殖を抑える薬剤です。
・免疫チェックポイント阻害薬(抗PD‑1/PD‑L1):がん細胞が免疫のブレーキをかける作用を解除し、T細胞による攻撃を促します。現在臨床使用や試験段階であり、子宮がんでも検討が進んでいます。

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の予防と再発防止

子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)の予防と再発防止

治療後も再発リスクに備え、また未発症者が発症を防ぐためにも、日常生活での対策と定期フォローアップが非常に重要です。

ここでは、3つの主要な視点から整理します。

  • 定期検診と高リスク者のフォローアップ
  • 生活習慣の見直し(食事・運動・禁煙など)
  • 家族歴がある方の対策(遺伝子検査・カウンセリング)

それぞれ紹介していきます。

定期検診と高リスク者のフォローアップ

がんを未然に防ぎ、再発を早期発見するには、定期的な診察と適切なフォローアップ不可欠です。
・子宮頸がんでは、治療後、2年間は3〜6か月ごと、その後5年までは6〜12か月ごとの経過観察が推奨されます。問診・内診・画像検査などが行われます。
・子宮体がんでも同様に、1〜3年ごと3〜6か月、4〜5年目は6〜12か月のペースで定期フォローアップが推奨されます。
・フォローアップには、問診や内診・エコー・CT・MRIなどが含まれ、症状がある場合はPET-CTなど精密検査へスムーズに移行します。

生活習慣の見直し(食事・運動・禁煙など)

日常生活の改善はカラダと心の回復を支え、がんの再発抑制にもつながります。
禁煙や節酒により、免疫力や回復力が向上し、がんリスクの低減が期待されます。
バランスの良い食事・適正体重・適度な運動は、治療後の体力回復と生活の質向上に効果的です。
ストレスケアや感染予防(手洗い・休養など)も重要で、再発リスク管理の一環となります。

家族歴がある方の対策(遺伝子検査・カウンセリング)

家族歴や遺伝性腫瘍の素因がある場合は、専門的な遺伝カウンセリングと定期検診が推奨されます。
リンチ症候群を含む遺伝性腫瘍がある家系では、子宮体がんのリスクが高まるため、遺伝医学専門施設でのカウンセリングが推奨されています。
・リスク要因に応じて、大腸内視鏡検査や子宮・卵巣の定期検診が行われ、MSI検査や免疫染色などの検査も含めた早期対応が可能です。
・家族歴がある場合でも必ず発症するわけではないものの、早期発見のためには予防対応が重要です。

まとめ:自分の体を知ることが、子宮がんと向き合う第一歩です

まとめ:自分の体を知ることが、子宮がんと向き合う第一歩です

子宮頸がんや子宮体がんは、早期に見つけて適切な対応をすることで、多くの場合しっかり治すことができる病気です。ですが、症状がないまま進行することもあるため、「気づいたときには遅かった」とならないよう、日頃のケアや定期的な検診がとても大切です。

がんという言葉に不安を感じる方も多いと思います。でも、大切なのは「知らないままにしないこと」です。知識があることで、不安が少し和らぎ、次の行動につなげやすくなります。

どうかご自身の体にやさしく耳を傾けてください。そして、気になることがあれば、遠慮せず婦人科を訪ねてみてください

あなたの一歩が、これからの安心と健康をつくっていきます。

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